世界中でたくさんの人が心待ちにするクリスマスシーズン。実は、スペインをはじめとするヨーロッパの国々では、年が明けてもクリスマスシーズンが続いていることが少なくない。スペインではノチェブエナと呼ばれる12月24日のクリスマス・イブ、25日のクリスマス、31日の大晦日、お正月、さらに、1月6日のレジェス・マゴス(東方の三賢人の日)の祝日と、これらのイベントを順にお祝いしていくため、年始はまだクリスマスの期間にあたる。

 

カトリックの国であるスペインで、クリスマスはとても大切な行事だ。12月ともなれば街は美しいイルミネーションに彩られ、教会や商業施設にはベレンという伝統的なクリスマス飾りが登場する。ベレンとは、イエス誕生の物語をミニチュア人形で再現したジオラマのこと。趣向を凝らした大小さまざまなベレンの装飾で、いっそう華やかなクリスマスムードに包まれる。

 

 クリスマスイベントのクライマックスを飾る1月6日のレジェス・マゴス。聖書によると、三賢者が幼子イエスのもとに贈り物を届けに訪れた日だそう。このことから、スペインでは1月6日に子どもたちへプレゼントを渡す習慣があり、子どもたちはワクワクと胸躍らせながらこの日を待ちわびるのだ

伝統的なクリスマス飾り・ベレン

イルミネーションに彩られたマヨール広場

 レジェス・マゴスのお楽しみはほかにもあって、それは、伝統菓子のロスコン・デ・レジェスを家族みんなで食べること。ほんのりと甘い生地のスイーツパンで、大きなリング状は王冠をイメージしているそう。パンの上には、宝石に見立てたドライフルーツの砂糖漬けやアーモンドをトッピング。焼きあがった生地に、お好みで生クリームやチョコクリームをはさみ、グラニュー糖や粉砂糖で美しくデコレーションするのがポピュラーなスタイルだ。

 

 年が明けると、菓子店やパン屋の店頭に焼きたてのロスコン・デ・レジェスがずらりと並ぶほか、手作りで楽しむ家庭も多いという。生地の中に陶器の人形が忍ばせてあり、切り分けて食べる際には大人も子どもも大盛り上がり。人形が当たった人はその年の幸運を手にすると伝えられているからだ。

 みんなに愛されるクリスマスの伝統菓子が今年も変わらず笑顔と幸運を運んでくれる。

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