フランス東部ブルゴーニュ地方を代表する料理、ブッフ・ブルギニョン(ブルゴーニュ風牛肉の赤ワイン煮)は、たっぷりの赤ワインでマリネした牛肉と野菜をソテーし、マリネ液でじっくり煮込んだ人気の家庭料理。街のビストロでも多く提供される、ビストロ料理の定番ともいえるひと皿だ。

 

 美味しさの秘訣は、丁寧に時間をかけて煮込むこと。焦らずゆっくり、グツグツ、コトコト。ワインの風味とコクがゆっくり溶け合って、滋味に溢れた豊かな味わいに。お肉はほろほろと柔らかく、口の中でほどけていくよう!良質なワインの産地ブルゴーニュでは、料理の場面でもワインが大きな役割を果たしてくれるというわけです。

良質なブルゴーニュの赤ワイン

鮮やかなタイル屋根のオスピス・ド・ボーヌ

 ブルゴーニュワインの取引の中心地は城壁で囲まれた小さな街、ボーヌ。歴史的な建造物が多く、とくに15世紀創建のオスピス・ド・ボーヌは、鮮やかな多色のタイル屋根がひときわ目を引く街のシンボル。貧しい人々のための慈善病院として設立され、当時はオテル・デュー(神の宿)と呼ばれていたそう。現在は博物館として一般公開され、国際的なワインオークションが開催されることで知られている。

 

 お祝いごとやお祭りなど、にぎやかな食事の席で決まって聞こえてくる手拍子歌、バン・ブルギニョンもこの地方ならでは。料理を囲み、ワインをくみ交わし、歌い、喜びを分かち合う。それは、豊穣の大地に生きる陽気なブルゴーニュの人々の、なんとも朗らかで幸福なひとときだろうか。

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