旅行者血栓症(深部静脈血栓症/エコノミークラス症候群)とは?
長時間下肢を動かさずに座っていると、脚部の奥にある静脈に血のかたまり(深部静脈血)ができることがまれにあります。
この血栓が怖いのは、歩いている間にその一部が血流に乗って肺にとび、肺の血管を閉塞してしまうことです(肺塞栓)。
当初、深部静脈血栓が航空機内のエコノミークラスの旅客から報告されたため、エコノミークラス症候群の名前で知られるようになりました。
しかし、座席のクラスに関係なく、また航空機内以外の交通機関でも一定の姿勢のまま長時間動かなければ、同様の危険性があることから、旅行者血栓症という名称が使用されています。
以下のような病気や症状をお持ちの方が起こしやすいとされています。
「下肢静脈瘤・下肢の手術・けが・悪性腫瘍・深部静脈血栓症(既往)・凝固能異常肥満・経口避妊薬の使用・妊娠中・出産後」このような症状のある方は、あらかじめかかりつけのお医者様に相談することをお勧めします。
軽い運動や水分補給など予防方法も広まってきておりますが、本ページではより身体の仕組みを考慮した予防プログラムを「搭乗前」「搭乗中」「降機後」に分けてご紹介します。
誰でも簡単にできる旅行者血栓症(深部静脈血栓症/エコノミークラス症候群)予防法
全身の血流を促進し、筋組織のpH(通常7.4前後)を正常化、筋の緊張を緩和する効果が見込めます。しかしながら、運動に不慣れな方が急にまとまった運動を開始すると、逆に血栓のリスクになる可能性があるため、疲労感や身体の様子を気にかけながら取り組んでみましょう。
飛行機内は気温24度・湿度20%前後の場合が多く、過ごしやすいと感じる反面、身体から水分が失われやすい環境となっています。無自覚の脱水を予防するためには、1時間当たり200ml(コップ1杯)の水分補給が推奨されます。アルコールは強い利尿作用があり、特に空腹時の摂取は胃の通過時間が短く吸収されやすいため、十分配慮しましょう。
全身の筋緊張を緩和し血液滞留を予防する(漸進的筋弛緩法)
漸進的筋弛緩法とは、骨格筋を緊張させ(筋肉に力を入れ)、直後に弛緩(脱力)させることでリラックスを促す方法です。医療機関のリハビリテーションやトップアスリートのコンディショニングでも活用されています。以下の手順で実践すると、徐々に全身の緊張がほぐれ血流が改善し、血栓の予防に繋がります。ポイントは「脱力」です。
主要関節の運動(大きな筋を収縮させ血流を改善する)
血液は心臓→動脈→全身→静脈→心臓と循環していますが、心臓へ戻るための力は全身の筋がその役割を担っています。そのため、大きな筋をゆっくり動かすと、各所で滞っている血液循環を改善する効果があります。
搭乗中の睡眠は、ベッドの上と比較すると身体の動きが制限され緊張しやすい環境です。また、交感神経優位の状態は全身の筋が興奮しており、自分ではリラックスしていると思っていても体は固まりやすくなっています。特に、普段と異なる環境においてはその兆候が顕著に現れますので、身体の内部から副交感神経に働きかけ、心身ともにリラックスした十分な睡眠を得られるよう準備しましょう。
3秒かけて息を吸い、5秒かけて息を吐く(鼻呼吸推奨)
太陽(こめかみ)・攅竹(眉毛の付け根)・晴明(目頭)をそれぞれ押す
飛行機内で緊張した身体を入浴で温め、筋緊張を緩和し血管拡張を促しましょう。シャワーだけでなく、湯船に浸かると水圧の影響を受け末梢から血液を戻しやすくなるためさらに効果が高まります。
搭乗前と同様の効果を狙い、適度な有酸素運動を継続するとリスクは低減します。