厳しい冬を越さなくてはならないフィンランド。寒く凍えた体を温めたいときには、ロヒケイットと呼ばれるサーモンスープが欠かせない。郷土料理のひとつで、家庭の味として親しまれているのはもちろん、冬にはヘルシンキの広場にロヒケイットのテント屋台が立ち、行き交う人々の身体と心を芯までほっこり、優しい味で温めてくれる。
スープの食材はフィンランドならではのものばかり。ごろっと大きなサーモンに、ジャガイモや人参、玉ねぎなどの根菜をたっぷりと。煮込むときに使われる新鮮な牛乳や生クリームも、酪農が盛んなこの地域では多くのレシピに登場する。
仕上げに、ハーブのディルを細かく刻んで加えれば、さあ完成!爽やかな香りのディルはクリーミーなスープのアクセントに最適。寒さが厳しい北欧でも手軽に育てられるディルは、フィンランドではさまざまな料理に使われる馴染み深いもの。ディルの風味がフィンランドスタイルの一番の決め手だ。
フィンランドの北部ロヴァニエミにあるサンタクロース村
サンタクロース村の氷結温度計
冬、かじかんだ心を癒やしてくれるのは食事だけではない。ラップランド地方にあるロヴァニエミ市は、サンタクロースの故郷として知られる場所。夏には爽快な緑の風景と沈まない太陽を、冬には幻想的な雪景色と美しいオーロラを観測できる自然豊かな北極圏の地。そこに、サンタクロース村がある。
太陽が昇らない神秘の季節。雪帽子をかぶったモミの木、のんびり顔のトナカイ。暖炉の炎に暖められた部屋で、サンタクロースは世界中から訪れる人たちを出迎えてくれる。わくわくした気持ちをいっぱいに抱えてサンタクロースと過ごす時間、それはまるで素晴らしい魔法のよう!穏やかにすっかりくつろいで、じんわり癒やされて、心がポカポカと幸福感で満たされていくのだ。
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