タイ
クンパワピー
紅い睡蓮の海
タイ東北部、ウドーンターニー市郊外。クンパワピー郡のほぼ中央に位置するノーンハーン湖は、総面積約36平方キロメートルを誇る広大な湖だ。「紅い睡蓮の海」と名付けられ、通称タレー・ブア・デーンと呼ばれている。群生する睡蓮が毎年12月から2月上旬に見頃を迎え、ピンク色の可憐な花々が水上に咲き誇るのだ。
ピンク色の睡蓮を紅いと称する。その理由がある。早朝に花開き、夕暮れには花弁を閉じてしまう睡蓮。透明感にあふれる美しい花たちが満開となって湖面を埋め尽くすのは、午前中の限られたひとときだ。睡蓮が紅く染まるときはさらに短い。
夜明け前、鏡のように静まる水面が薄暗い空の青を包み込む。水平線の彼方に太陽が顔を見せると、景色は瞬く間に変貌する。
エネルギーに満ちた朝の光が世界を明るく照らし、暖かな色で睡蓮をいっせいに染め上げるのだ。瞬間、海のように広大な紅い湖が姿を見せる。自然が作り出す、絶景。しかしそれは、湖の環境保護に取り組む地元の人々の努力によって守られているという。美しく、なお尊い。天上の楽園を思わせる夢のような景色だ。
さあ 、神秘の赤を求めて。
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