海老芋と棒鱈を、砂糖、しょうゆを足したダシで甘めに仕上げたシンプルかつ真似のできない味わい。他の料理の味付とのバランスのよさもすばらしい
円山の地で300年もの間、一子相伝で受け継がれる名物「いもぼう」。国内外を問わず、京都を訪れる多くの人々が、「京の味」と称される滋味深い料理を味わうために、知恩院南門の傍にある風情が漂う屋敷の暖簾をくぐる。
初代当主は、江戸・享保時代、代々門主が宮家という粟田青蓮院に仕えていた平野権太夫。九州行脚の折に持ち帰られた唐の芋を、権太夫が円山で育てたところ土地に合い、各地に広まったのが今日の海老芋。その海老芋と当時、京都では貴重な魚であった棒鱈の乾物とを炊きあげる「いもぼう」を考案した。逸品の噂は京の食通たちに広まり、権太夫はそれを看板料理にして商いを始めたという。
ふかふかに炊きあげられた海老芋は、甘めダシがほどよく利いている。
味がしっかりと芯まで染み込んでいるにも関わらず煮崩れしないのは、棒鱈から出るコラーゲンのお陰で、逆に海老芋のアクによって棒鱈の身がやわらかくなる。まさしく、京の人が認めた最高の「であいもん」(取合せのよい食べ物)。雅なしつらいのなかで妙味をもうひと口。この場所で味わうからこそ、おいしさはひとしおなのだ。
円山公園の北側、知恩院南門からすぐの場所にある。2013年10月テレビ放送された松本清張の傑作「顔」の1コマでのシーンも記憶に新しい
いもぼう懐石のイメージ。素朴な味わいと京料理の組合せを贅沢に楽しむことができる。3日前までに要予約
老舗の味をより気軽に楽しめるよう用意された椅子席。襖はついたてに使われていた絵があしらわれ、ひとつひとつの柄が違う
座敷は基本的に掘ごたつ。古きよき風情はそのままに、時代に合わせてリニューアルされた空間が心地よい
庭が眺められる特別室。利用できるのは懐石注文時のみ。接待や大切な人との会食に最適
大小を合わせて個室は全15部屋。さまざまなシーンに利用できる
INFORMATION | |
店名 | いもぼう 平野家本店 |
電話番号 | 075-561-1603 |
住所 | 京都府京都市東山区円山公園内知恩院南門前 |
営業時間 | 10:30~21:00 [ラストオーダー]閉店60分前 |
定休日 | 不定休 |
交通 | 京阪本線祇園四条駅7番出口より徒歩15分 祇園バス停より徒歩5分 |
席数 | テーブル68席 座敷64席/個室15室 |
予算 | (昼)2,600円(夜)5,000円 |
Webサイト | https://imobou.net/ |
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