エクスカーションツアーは、気軽に効率よく寄港地の観光ができ便利ですが、案内は英語の場合がほとんど。言葉に自信がない場合は、詳細の説明がなくても見たり聴いたり五感で楽しめる内容を選ぶといいでしょう。また自由行動がある場合には、集合場所と時間は、必ず確認し厳守すること。船の出航時間がありますから、ツアーも時間には厳しく、予定の時間に戻らない場合は、そのまま置いていかれることもあります。くれぐれもご注意を。
エクスカーションを利用せず、個人で観光する事も、もちろん可能です。その場合出航30分前には船に戻れるように余裕をもってプランニングをしましょう。エンセナダの港にはレンタカーの窓口も仮設されるので、アクティブにレンタカーで旅をするのも一案。ただし、あまり遠出をし過ぎないようにくれぐれもご注意! 寄港地には正式に入国をしたわけではなく、あくまでトランジットです。通常パスポートなどは船に置いて出る事が多く、万一出航時間に間に合わず船に乗り遅れると、大変なことに。
意外とおススメなのは、船でゆっくりと過ごす事。いつもは混雑する船内の人気スポットも、寄港地に停泊中はのんびりと利用できます。船は10階建以上のものが多く、実は船から寄港地の街を一望するという楽しみ方もあります。エンセナダも一番高い甲板に上ると、港から遠くの山肌まで家が密集している様子や、海ではアシカが頭をのぞかせながら泳ぐ姿を目に出来ます。
クルーズの楽しみは、船内だけではありません。なんといっても、クルーズの醍醐味は寄港地で過ごす時間。船を降りるたび、新しい街の風景や人との出会いが待っています。今回参加した3泊4日のカリフォルニアクルーズでは、メキシコのエンセナダ(Ensenada)に寄港。その模様を紹介しながら、寄港地での過ごし方をお伝えします。
気軽に寄港地を楽しむなら、エクスカーション(寄港地観光)に参加するのが便利。どの寄港地でも数種類のコースが用意されています。エンセナダの場合なら、「市内観光」「メキシコ民族舞踊」「潮吹き岩の見学」などがセットになったツアー、ワイナリーをめぐるツアー、そしてゴルフプレーまで、魅力的な7種類のエクスカーションが用意されています。値段は大体30ドル前後とお手ごろ(※ゴルフプレーは除く)。先着順なので、申し込みは出発前に日本で済ますか、船の専用カウンターで早めに申し込むのがポイントです。
さて私たちは、「エンセナダ市内観光とメキシコ民族舞踊」のエクスカーションに参加することに。シーパスカード(※再上船する際に必要)、パスポートのコピー、カメラや日焼け止めなど必要なものだけを、小さなショルダーバックに詰めて、身軽な格好でいざ出発!実は寄港はトランジット扱いなので、面倒な出入国手続きはありません。シーバスカードを機械にタッチして下船すれば、そこは情熱の国メキシコ。ツアーのガイドが待っているので、指示に従いバスに乗り込みます。
街の中心部へは、車で約10分程度。車中の案内は英語なので、大事なことを聞き逃すまいと必死に聞き耳を立てます。バスが停車すると、まず1時間の自由散策。 集合場所と時間を再度ガイドへ確認し、街へと繰り出します。エンセナダは人口40万人と意外と大きな都市で、漁港のためシーフードが美味しいのだとか。有名な観光地ではないけれど、街にはカラフルな看板や建物が溢れ、山に目を移すと乾いた岩肌が見えるなど、思い描いていたメキシコのイメージが目の前に広がり感激。お土産屋さんや民芸品の店も多く、買い物をしたり、写真を撮ったりしていたら、あっという間に集合時間に。急いで、集合場所へ向かいます。
次は、バスでメキシコ民芸舞踊の見学へ。以前はカジノホテルとして利用されていたという建物は、重厚な雰囲気で歴史を感じる佇まい。会場に見惚れていると、程なくして綺麗な衣装に身を包んだ男女が登場し、いよいよ舞踊が始まります。リズミカルな動きに揺れるドレスは、まるで生きているように複雑な動きをし、時にコミカルな表情をのぞかせる男性の動きは勇ましく、陽気なメキシコ音楽に合わせて繰り広げられる舞踊は見応え充分。ストーリー仕立てになっていて、動きや表情、衣装も変わるので、見ていて飽きることがなく、約1時間のショーを存分に楽しみました。
最後は、バスの車窓から市内観光。エンセナダの日常的な風景を垣間見つつ、船へ向かいます。港へ到着したのは午後2時、夕方の出航まではまだ十分時間があります。せっかくなので、乗船前に船を背景に記念写真を撮っていると海の中でもぞもぞと動く黒い影が・・・・なんと、その正体はアシカ! こんなに近くから野生のアシカを見られるなんて・・・…友人と二人大喜び。一瞬の出来事でシャッターチャンスを逃したのが悔やまれます。
乗船したら、見晴らしのいい屋外のテラス席をキープし、船上からエンセナダの街を眺めながら遅めのランチ。街の散策もいいけれど、海から眺める街も視点が変わって、なかなかいいもの。夕方になり汽笛がなったら、出航の合図。大きなメキシコの旗が揺れるエンセナダの街に別れを告げます。
一般に寄港地には朝に到着し、夕方出航というスケジュール。エクスカーションも、滞在時間をフルに使ったものから、今回参加したように数時間のものまでいろいろ。でも残念ながら、寄港中に参加できるのは一つだけ。よーく吟味して好みのものを選びましょう。