安全・確実に美術品を運び続けてくれる、信頼できるパートナーです。

会社名:株式会社朝日新聞社
業種:情報・通信業
利用サービス:美術品専用輸送サービス(J SOLUTIONS ART)

ポイント

美術品輸送に求めるもの

  • 世界に一つしかない作品を運ぶための「安全性」
  • 豊富な美術品輸送実績が裏付ける「信頼感」

輸送時における強み

  • 路線と便数の多さを生かした輸送の柔軟性
  • 世界各地に配置されたJALスタッフによるオペレーション

JALCARGOならではの付加価値

  • 「美術品の輸送」と「クーリエの移動」をワンストップで実現
  • 機内誌での展覧会紹介など、全社での文化支援

ミロ展の重要な作品輸送を実現した「J SOLUTIONS ART」

朝日新聞社 メディア事業本部 文化事業1部 桝内彩加さん

朝日新聞社は100年以上にわたり文化事業に取り組んできました。1920年前後から国内外の美術や文化の展覧会を開催し、フランス国外では初公開となった1964年の「ミロのビーナス特別公開」、293万人を動員した1965年の「ツタンカーメン展」といった展覧会を開催してきた実績があります。1922年には文化事業を扱う部署が設立され、さらに幅広いジャンルの展覧会や音楽会を手がけるように。現在では、美術から博物、神社仏閣、科学、絵本、キャラクターまで、1年に4~5本の大型展覧会と、多数の中規模巡回展を企画・主催しています。

私は主に美術ジャンルの展覧会を担当しており、「現代書道二十人展」「GENKYO 横尾忠則展」「イッタラ展」などのさまざまな展覧会に携わってきました。中でも、2025年3月から開催された「ミロ展」では、展示と輸送に関する業務を担当しています。同展はスペインの巨匠、ジュアン・ミロの作品97点を紹介する、日本では約60年ぶりの大規模回顧展です。特に、世界中に23作品が点在するうちの貴重な3点を揃えた〈星座〉シリーズは、第二次世界大戦の戦火を逃れつつ描かれた傑作として、本展の目玉となっています。

ミロ展(東京都美術館で2025年3月1日~7月6日まで開催)より〈星座〉シリーズの展示風景(撮影:山本倫子)

この企画は、2018年にパリのグラン・パレで開催された大規模なミロ展の監修者に相談し、バルセロナのミロ財団の全面的な協力を得て、東京都美術館とともに準備を進めてきました。

世界各地から作品を集めるためには、安全・確実に美術品を輸送することが不可欠です。そのパートナーとして長年信頼を寄せているのが、JALCARGOの美術品専用輸送サービス「J SOLUTIONS ART」です。

朝日新聞社とJALCARGOの協力体制には長い歴史があり、海外作品を扱う展覧会の多くでお世話になっています。今回の「ミロ展」で展示した作品のうち、J SOLUTIONS ARTで運んでいただいた作品は、パリ、ダラス、ニューヨーク、フランクフルトから16点。先ほど申し上げた〈星座〉シリーズの1点や、ピカソとミロの親密な交流がうかがえる《自画像》《スペインの踊り子の肖像》など、今回の展覧会に欠かすことはできない重要なピースを輸送していただきました。

「安全」と「信頼」を運ぶ、美術品輸送の世界

美術展を主催するにあたり、海外から美術品を借用する際に私たちが最も重視するのは、「安全」と「信頼」です。借用する作品は世界に一つしかない貴重な芸術品であり、ご所蔵者やご所蔵館は、作品を安全に確実に輸送し取り扱うことが確認でき、信頼できる相手でなければ貴重な美術品を貸し出してくれません。

「ミロ展」のように公益性が高い、非常に重要な展覧会では、万一発生した美術品の損害を政府が保証する「美術品補償制度」という制度を利用することがあります。この制度には厳しい審査が設けられており、詳細な輸送計画を提出する必要があるので、JALのような50年以上の美術品輸送実績がある会社との協力体制は、重要な要素となります。所蔵者側に対しても、「JALが輸送します」と伝えると安心して任せていただけます。

JALCARGOでは、世界各地の空港に共通の教育を受けた自社スタッフを配置しており、J SOLUTIONS ART専用の指示書が全拠点で共有され、貨物の特性に合わせた対応をしていただいていると伺っています。

実際、J SOLUTIONS ARTで輸送いただく際には、「絵画の輸送では作品を立てた状態にし、絵の面が航空機の側面(窓側)に向くように搭載方向を指定する」「美術品は食品などの他の貨物と一緒に輸送してはならない」など、所蔵館の要求に対応し、美術品ならではの細かな配慮がなされています。また空港到着後、美術品専門の車両に載せるまでの作業も非常に丁寧で、私も立ち会うたびに感銘を受けています。

JALCARGOだからこそ実現できる、柔軟な輸送+移動

ミロ展(東京都美術館で2025年3月1日~7月6日まで開催)の展示風景(撮影:山野一真)

「ミロ展」では、作品リストが最終的に固まったのは2024年の年末近くでした。輸送スケジュールの確定も遅かったのですが、それにも関わらずスムーズに便を確保いただき、展示開始の約1ヶ月前頃から輸送が行われ、2025年3月1日に無事開幕に至ることができました。

今回、改めてJALCARGOの優位性を再確認したのが、「路線と便数の多さ」です。ミロ展のように、作品を借りる先が複数にわたる場合、この点は非常に重要でした。2023年に同じく東京都美術館で開催した「マティス展」でも、パリから重要な作品の数々を輸送する際、リスク分散のため複数の便に分けて運びましたが、それもパリ-羽田間に多くの直行便があるJALだからこそ可能になった計画だと思います。

また、価値ある芸術作品を輸送するときは、貸し出し元の美術館職員がクーリエ(遂行者)として同行する必要があります。JALの場合、「美術品の輸送」と「クーリエの移動」はワンストップで手配できるため、貨物やクーリエのスケジュールによって急な日程変更が生じても、便数の多さを活かして柔軟に調整いただけるのがありがたいですね。

共に展覧会を創り上げるパートナーとして

JALは、単なる「輸送業者」としてではなく「文化事業の理解者」として、共に展覧会を創り上げてくださっているという実感が強くあります。JAL社内では、ESG推進部におけるプロジェクトの一つとしても、美術品輸送に取り組まれていると伺っています。機内誌での展覧会紹介など広報面での協力もいただいていますし、JAL本社には美術展のチラシが多数置かれており、社内全体で文化支援に取り組んでいこうとする気概を感じました。

私たちが取り組む展覧会の目的は、「多くの方が知らないこと・初めて見るものを紹介する」「海外に行かないと見られないものを、日本でまとめて見ていただける場をつくる」ことにあります。この使命を実現するためには、JALCARGOのような世界と日本をつなぐパートナーの存在が不可欠です。今後も美術品輸送のプロフェッショナルであるJALCARGOと深い協力関係を築きながら、日本と海外の文化交流の一助になれたらうれしいです。

ミロ展 (東京都美術館で2025年3月1日~7月6日まで開催) の展示風景 (撮影 : 山野一真)