元プロ陸上選手
為末 大
TAMESUE DAI
1978年広島県生まれ。陸上トラック種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2014年10月現在)。2001年エドモントン世界選手権および2005年ヘルシンキ世界選手権において、男子400メートルハードルで銅メダル。シドニー、アテネ、北京と3度のオリンピックに出場。2003年、プロに転向。2012年、25年間の現役生活から引退。現在は、一般社団法人アスリートソサエティ(2010年設立)、為末大学(2012年開講)、Xiborg(2014年設立)などを通じ、スポーツ、社会、教育、研究に関する活動を幅広く行っている。
22歳の時、初めて一人で海外遠征に向かいました。クロアチアの首都で走り、イタリアのカオルレという街で走り、試合が終わった後一人で海辺の道を歩きました。言葉も全くわからない土地で不安だらけのなか、一人ぼっちで試合を走り、人生について考えた経験は振り返るととても貴重な時間でした。 若いアスリートに大切なことは、一人になることです。日本代表としての遠征は、コーチとスタッフが同行し、たくさんの選手と共に小さな日本が移動するようなものです。それに比べて一人で海外に行き自分の力で移動していくことは、本当の意味でアスリートの自立を促します。そして何より海外でひとりぼっちになることの不安と、そして自分と向き合う時間が、自分がやるべきことを見つける貴重な時間になります。 世界は広く、自分は小さい。そして自分の意志さえあれば可能性は広がっていることを私は一人でいた時に実感しました。
アスリートに翼を。皆さんのマイルがアスリートの可能性を開きます。