JAL SHOP 7‐8月 国際線
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9 irlinesexclusiveJapanA蒸留所にとって初めての商品が、世界的に権威のある英国のコンペティション「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2022」にて金賞を獲得。以来、主要コンペティションで3年連続金賞を受賞し続けている遊佐蒸溜所は、山形県の日本酒メーカー9社が出資した焼酎メーカー、株式会社金龍が運営しています。社長の佐々木雅晴さんは、県内の少子高齢化による厳しい未来を危惧し、地域に根差した事業として新たにウイスキー製造への参入を決意。内部ではゼロからのスタートとなる取り組みを不安視する声もありましたが、「私が指揮を執り、必ず世界レベルのウイスキーを造る」と宣言。2年をかけて建設地を探し、本場ス度40度台の軟水で湧水でもある鳥蒸留所の□実力□とはコットランドの名門企業フォーサイス社に、プラントの企画、設計、設営を依頼。フォーサイス社のスタッフは数カ月間滞在して、完成後の試験蒸留でも丁寧な指導を施し、製造チームに本場の伝統的な製法を伝授しました。こうして完全オーダーメイドの本格的な蒸留所が完成。スコットランドからの厳選した大麦と、硬海山の伏流水を仕込み水に、一からウイスキー造りに取り組み、本格的な味わいを生み出したのです。「ウイスキー事業に参入するにあたって□絶対に失望させません□と言った手前、初リリース商品が受賞した時はホッと安堵しましたね」(佐々木社長)続けることに強い思いを持つ日本酒メーカーの共同出資によって誕生した会社であり、製造には徹底したこだわりを持っています。「マニュアルはあってないようなもの。日々の気候変動などのさまざまな要因で、ウイスキー造りの過程には僅かな□違い□が生まれますが、そのほんの些細な違いを□異常□と人が感知して正常値に戻すことは、品質を守り続ける上でとても大切なことです。『素早い修復能力』こそが、その蒸留所の実力。そのために私たちは全ての工程と丁寧に向き合い、変化に対応できる経験値を日々養っています」。また、「人さまの口に入るウイスキーを造るには何より衛生面第一」と、毎朝の朝礼後、社長をはじめ全社員で清掃を欠かさず、衛生管理を徹底。日本人らしい「神は細部に宿る」という精神で、完成度の高いウイスキーを造り続けています。このたびJALとのコラボで誕生した「シングルモルト遊佐み口とフルーティな香りが見事に調和した逸品。「シングルモルトは香りが命。できれば口がつぼまったチューリップ型のグラスで、遊佐蒸溜所らしいフルーティさを感じながら味わってもらいたいですね」。今後は人材の育成にも力を注ぎ、蒸留のエキスパートを増やして、小規模ながらもレベルの高いウイスキーを造る、世界が認める蒸留所にしていきたいと語る佐々木社長。7シーズン目を迎え、遊佐蒸溜所はさらに進化し続けています。初めから世界を目指す香りを感じて味わってほしい2025」は、クリーンな飲美しい景観、澄んだ空気、良質で豊富な水、程よい湿度に恵まれた、ウイスキー造りの理想郷である遊佐町。土間に敷いた木のレールの上に樽を積み重ねる「ダンネージ式」は、スコットランド伝統の熟成方法。ポットスチルのラインアームはよりクリーンな酒質にするため、長めに設計されています。「社長はウイスキーへの情熱がとても熱い人です」と語る佐藤亮常務(右)「良いものを造るために決して妥協しない社長の姿勢は勉強になります」と、蒸留所の開設時から製造の中核を担う齋藤美帆さん(左)遊佐蒸溜所のコンセプトは「TLAS(トラス)」。Tiny「小さな」Lovely「かわいい」Authentic「本物の」Supreme「最高の」の頭文字です。「小さく可愛らしい蒸留所に見えますが、本物で最高品質のウイスキーを目指しています」(佐々木社長)カナダ産ベイマツ(ダグラスファー)の発酵槽。保温性に優れ、木桶に棲む微生物の働きが原酒の風味に良い影響を与えます。本場スコットランドの伝統的な製法にこだわった本格的なウイスキー造り「遊佐蒸溜所」 株式会社金龍は、高品質な酒を造り名峰鳥海山の麓に位置し、豊富な湧水や美しい景観に恵まれた環境の下、手間暇を惜しむことなく、細部までとことん手を尽くし、こだわりを詰め込んだ高品質のウイスキーが造られている遊佐蒸溜所。最高品質の味わいを求めて取り組む“ものづくりの精神□の真髄に迫りました。This article can also be read in English. See P.10目指すは「世界が憧れるウイスキー」

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