JAPAN AIRLINES

第22回
航空豆知識
Q, 飛行機が高度一万メートルの上空を飛ぶのはなぜか?
A,  「大空を自由に飛んでみたい!」というのは、誰でも、一度は思い描く夢ではないでしょうか? もし、空を飛べるとしたら、どのくらいの高さを飛んでみたいですか? 日本一の富士山(3776m)ぐらいですか? もっと高く、世界一のチョモランマ(エベレスト:8848m)ぐらいでしょうか? それとも、宇宙まで行って、青い地球を見てみたいですか?
ペンギン  ところで、飛行機がどのくらいの高さを飛んでいるかをご存じでしょうか? 飛行機は、通常、地上から約33000フィート、メートルに直すと約1万mの上空を飛行しています。では、なぜ1万mかというと、けっして数字のキリがいいからというわけではなく、これには深い理由があるのです。
 皆さんは、コップの水にインクを混ぜてしばらく放っておくと、やがてコップの底のほうにインクがたまることをご存じだと思います。これは、水の重量よりもインクの方が重いからです。
 空気についても同様で、その濃度は、地上から離れれば離れるほど薄くなります。登山家の方たちがチョモランマに登るとき、よく酸素ボンベを持っていきますが、約8000mの高地では、空気は地上に比べとても薄いのです。逆に、飛行機にとっては、高く飛べば飛ぶほど周囲の空気が薄くなるので、機体にかかる空気抵抗が少なくなって、前に進みやすくなります。これは、ちょうど、沼でボートをこぐよりも、澄んだ水の湖のボートのほうが、前に進みやすいのに似ています。
 それでは、1万mよりももっと高いところを飛べば、もっと空気が薄くなって、さらに飛びやすくなる、と思う方もいるかもしれません。でも、それは違います。
 というのも、飛行機は、吸い込んだ空気をエンジンの中で圧縮・燃焼・爆発させることによって、推進力を生み出し、前に進んでいるからです。つまり、1万m以上の高度では、空気の濃度が薄すぎて、圧縮しても、燃焼しにくくなり、1万mを超えて高度が上がれば上がるほど、今度は、飛行機はだんだんと前に進まなくなってしまうのです!
富士山  このように、機体への空気抵抗とエンジンの推進力の兼ね合いを考えたとき、両方の効率がもっともよくなる高度であること−−それが、1万mの秘密です。いつもなにげなくご覧いただいている窓の外は、実は富士山の約3倍の高さがあるのです。
 ところで、昔から、初夢に登場すると縁起のよいものに「一富士、二鷹、三なすび」がありますが、皆さんの初夢に富士山は出てきましたか?
 皆さんにとって、今年が快晴の青空のような1年であることをお祈りしています。
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載