JAPAN AIRLINES

第12回
航空豆知識
Q, 飛行機に乗ると耳が痛くなることがあるのはなぜか?

 
A,  皆さんの中には、飛行機に乗って耳が痛くなった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
 地上(高度0m)での強さを1気圧として示される大気の圧力は、上空へ行くに従って0.9、0.8とどんどん低くなり、たとえば飛行機の通常の飛行高度3万3000フィート(約1万m)の上空では、0.2気圧、地上の5分の1にまで下がります。もちろん、人間の体は、このような大きな気圧の変化には耐えられませんから、飛行機には、機内の気圧を調整する機能が必要になります。
Image では、どのようにして、この気圧の調整を行っているのでしょうか。
 上空では、飛行機はエンジンから抜き取った高温高圧の空気をエア・コンディショニング・システム(エアコン)に導き、機内に送り込んでいます。しかし、それだけでは送り込んだ空気で満たされ、飛行機が風船のように膨らんでしまうことになります。そのため、飛行機には、胴体の後方下部または中央左側に「アウトフローバルブ」と呼ばれる弁がついていて、バルブの開度を調整することで気圧がコントロールできる仕組みになっているのです。
 さて、地上では、私たちの体は1気圧の力で押されていますが、逆に体の中からも1気圧で押し返す力が働き、体の外と中のつり合いが取れた状態になっています。ところが、飛行機の上昇や下降で気圧が変化し、体の外と中で気圧差が生じる状態になると、体は体内の空気量を調整しようとします。
 実は、飛行機に乗っているときに耳が痛くなるのは、体に出入りしようとする空気によって、最も敏感な器官のひとつである耳の鼓膜が動かされるためなのです。このようなとき、あくびをしたり、つばを飲み込んだり、飴をなめると、痛みがとれやすくなります。
Image ところで、実際の機内の気圧は、地上と同じ1気圧ではなく、約0.8気圧に調整されています。機内を飛行中にずっと1気圧にしていれば、耳が痛くならなくても済むのに・・・と考えている方もいらっしゃると思いますが、これには胴体の強度の問題があります。
 地上では、機内と機外の気圧に差はありませんが、上空では0.6気圧の差が生じています。このとき、飛行機の胴体の外版が受ける力は1m2当たり6トンにもなるといわれています。つまり、機内を1気圧に保つためには、より大きな力に耐えられるよう、機体を構成している部材の強度をあげなくてはなりません。しかし、そのために外版を厚くすると、飛行機の重量が増えてしまいますから、お客様や荷物の数だけでなく、お客様へサービスする飲み物や機内食なども減らさなくてはなりません。
 機内が約0.8気圧に調整されているのは、ひとりでも多くのお客様に、快適なサービスを楽しんでいただくためでもあるのです。


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アウトフローバルブは胴体の後方下部や中央左側についています。とても簡単なつくりですが、万が一故障すれば、お客様と乗員に大変な影響がでますので、安全のために2系統(自動/手動)で調整ができるようになっています。
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これはボーイング767型機のアウトフローバルブで、胴体後方下部の左側についています。ボーイング767は中型の飛行機なので、バルブは1つしかありません。
写真提供:JALフォトサービス
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載