コックピット日記

「コックピット日記」は5人の機長が毎月交替で、パイロットに関する話や日常の乗務で出合ったこと、ちょっとした役立つ情報などを、読者の皆さまにお届けするエッセイです。

Captain 165 駐機場の形文=川添 剛(エンブラエル 機長)


 読者の皆さま、こんにちは。年末が近づくこの時季、帰省などで空港を利用する機会が増える方も多いのではないでしょうか。それぞれの空港は、敷地の広さや航空機の離着陸数などを考えて設計されています。
 今回は、各空港の特徴についてお話しします。

  空港は大きく分けて、管制施設、駐機場、誘導路、滑走路、ターミナルビルで構成されています。駐機場とは、お客さまの乗り降りのほか、荷物の積み下ろしや、燃料の補充、整備などを行うために航空機が停まるスペースのことです。国内の多くの空港で見られるもっともシンプルな駐機場は、ターミナルビルに航空機を直接横付けできる横に長い形をしています。羽田空港は、両側にもターミナルビルがあるためコの字形をしています。このほか、ターミナルビルから離れた場所に駐機する、いわゆる「沖止め」の空港もあります。この場合、ターミナルビルから航空機まではバスなどで移動し、タラップと呼ばれる階段を使って機内へご案内します。航空機を間近で見ることができるため、ちょっとした旅の思い出になると思います。また、宮崎空港には航空大学校専用の駐機場があります。旅客ターミナルの反対側に"航空大学校"の大きな文字を目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。私が航空大学校の学生の頃、旅客ターミナルに停まっている航空機を眺めながら、パイロットを目指し訓練に励んでいたものです。写真

 海外には、ユニークな形をした空港もあります。例えば、パリのシャルル・ド・ゴール空港は円形状の駐機場です。フランスらしいデザイン性のある形で空港を楽しめるのですが、パイロットにとっては注意しなければならないこともあります。滑走路から駐機場に向かう「誘導路」が曲線になっているため、自機が進んでいる方向が把握しにくい場合があります。その際には、管制官に再度確認をとり、副操縦士と協力して最大限の注意を払って走行しています。
 また、シンガポールのチャンギ国際空港やロンドンのヒースロー空港では、滑走路から駐機場までをスムーズに誘導するシステムが導入されています。管制官から「Followthegreen」と無線で伝えられると、誘導路の中心線を表す緑色のライトが点灯し、その光を辿って駐機場に向かいます。

 次回お出かけの際には、空港の様子にも注目してみてください。これまで以上に旅の時間をお楽しみいただけるかと思います。

日本航空 月刊誌『AGORA』より(2003年から連載中)