5時30分、十津川村南部の玉置(たまき)神社に向かう。
山のふもとから山道を車で登ること、約20分。
カーブに差しかかるとフロントガラス越しにサァーと景色が開け、思わず車をとめた。
紀伊山地の峯々のふもとをすっぽり隠すように雲が広がっている。まるで仙人になって、雲上に立っているような気分だ。途中まで車は霧に包まれていたが、あの中を通ってきたのだと気づいた。
駐車場から上り下りを繰り返す山道を20分程歩いて、玉置神社の鳥居の前に。
先ほどまで聞こえていた木々や生き物たちのざわめきがパタッと止んだ。
命あるもの全てが、この神社が神聖であることをわきまえ、声を潜めるのだろうか?
高さ3 メートルほどの鳥居をくぐり、石段を登ると、豪壮な佇まいの本殿が見える。
社の威圧感に身をのけぞらせると、不意に風が吹き、身体を包み込むように流れた。
風にも不思議な力の宿りが感じられる。非常にクリアで、ピンと張り詰めた空気に満たされた境内。
「ここには確かに神がいる」と思わずにはいられない。玉置神社には神道をはじめとする日本の宗教の歴史すべてがあるという。
例えば、神社の末社である「玉石社」には、ただ信仰の対象となる石があるだけ。
最も原始的な信仰である自然崇拝を思わせる。
また、現在の社務所は、通常の神社とは異なる、洗練されたみやびやかさが漂う。それは中世に寺院であったことの名残なのだという。
- 「玉置神社」の社務所内の襖に描かれた襖絵の一部。
江戸時代に狩野派の絵師によって、杉板に直接描かれたもの。
花鳥風月をモチーフに全部で60数枚ある - 本殿から、さらに登ったところにある「玉石社」。
写真中央に見える黒い石がご神体






































