2011年6月28日、定例記者会見を実施いたしました。
会見での社長のメッセージを掲載させていただきます。
日本航空 社長
大西 賢
本日はお忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
私からは大きく6点ございます。
1点目は、震災に伴う影響と対応について
2点目は、収支の傾向について
3点目は、航空機燃料税の減税措置について
4点目は、ボストン線の就航について
5点目は、ワンワールドの新たな仲間について
最後に、海外支店訪問について、以上6点をお話させていただきます。
先ず、震災における弊社の状況につきましてご報告いたします。今回の震災で亡くなられた方々のご冥福を改めてお祈り申し上げますとともに、被災された皆さま、関係の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
前回の記者会見でも申し上げましたが、JALグループは地震発生の翌日以降、東北地方経済の維持や東北方面への救助支援に赴かれる方々の往来、および物資の輸送等に寄与すべく、JALグループの持てる全ての生産資源を投入してまいりました。6月に入ってからは、仙台空港の定期便の運航が再開される予定の7月25日まで、仙台発着の伊丹・札幌・福岡線と、今まだ需要の高い花巻=伊丹線など1日14便(7往復)を運航し、引き続き復興に向けて、弊社がなし得ることを、全力で取り組んでおります。
足元の実績と予約状況につきましては、回復に向かっておりますが、観光需要については、繁忙期に向けて更なる引き上げを図っていく必要があると認識しております。
国際の観光需要は、これまで減便や機材の小型化をするなど、需要減退に対応してきましたが、段階的に復便を行い、7月1日からは完全に復便することを既に決定し、供給を戻すことに加え、弊社の海外支店と観光庁や日本政府観光局等と共に協力し、海外メディアまたは訪日旅行を扱う旅行会社のキーパソンを日本にお招きする、いわゆる、視察旅行(Familiarization Tripと呼んでおりますが)を展開しております。日本国内における震災の影響や、被害を受けていない観光地など、正確な情報を知っていただき、海外メディアについては、日本の観光地など紹介していただく、また、旅行会社については、日本行きの旅行商品を企画していただいているところです。現在までに、海外の15地点から約260名の視察を弊社便でサポートしております。政府との連携の他にも弊社単独の招聘事業として、今後9月までに190名程度をお招きする予定です。
一方、国内の観光需要につきましては、5月から展開しておりますJAPAN PROJECTを通して、5月は宮崎県、6月は高知県の魅力を、機内誌や空港ラウンジなどJALグループが持つ全ての媒体をフル活用し、日本各地の「人」、「風景」、「伝統」、「文化」、「食」など、地方の良さを大いにアピールし、大々的に発信することで観光需要の創出につなげてきております。7月は鹿児島県、8月は沖縄県と続きます。7月1日は私も鹿児島に出向いて、大いにアピールさせていただき、今後も観光需要の底上げの為の施策をどんどん打っていきたいと考えております。
2点目は、収支の傾向についてお話させていただきます。収入面で見ると、4月は元々航空需要の少ない時期ということに加えて、震災の影響を受けましたため、若干の赤字となりましたが、5月単月で黒字となりました。その結果、4月および5月累計でも黒字を確保できました。今後も安全運航をしっかりと行いながら、更なるコスト削減と増収施策を、着実に実行してまいりたいと思います。収支の数値につきましては、上場企業と同等レベルの四半期決算について任意開示をさせていただき、定例会見の場でお伝えさせていただきます。
今後も需要動向を厳しく精査し、常に固めに見積もり、且つ外部環境の変化に敏感に反応し、確実に収益をあげることのできる更なる打ち手を、迅速に打ってまいります。
3点目は、航空機燃料税の減税措置についてです。弊社は積年の課題と認識しております公租公課の大幅な軽減を政府に要望してまいりました。そのような中、6月22日、2011年度税制改正関連法案の修正案が可決・成立し、航空機燃料税が引下げられることになりました。ご尽力いただきました関係者の皆さまに感謝いたしております。
しかし、公租公課は、未だ弊社の費用のおおよそ10%を占める水準にございます。航空自由化が進み国際競争力の強化が求められる中、制度のイコールフィッティングは不可欠であると考えております。
今後も各方面に更にご理解を得る努力を継続しつつ、軽減に向けた更なる検討を強くお願いしていきたいと考えております。
4点目です。弊社は成田=ボストン線を、来年2012年4月22日に新規開設することを決定し、先月5月27日に発表させていただきました。ボストンは、米国東海岸における経済・文化・教育の拠点都市の一つですが、日本のみならずアジアからの直行便はなく、シカゴ、ニューヨーク等から乗継ぐ必要がございます。日本とボストン間の端末需要のみならず、アジアの需要と米国東海岸の需要に対応していきたいと考えております。このため、ボストンを拠点とするジェットブルー社との提携についても取り組みを行い、ニューヨークに次ぐ拠点にしていきたいと考えております。
この「新しいネットワーク」が、業務渡航や観光渡航の需要を刺激する、または、震災等によって停滞している様々な交流を再興させることに貢献出来ると考えております。
また、成田=ボストン線の開設が実現できたのは、新規機材であるボーイング787(今日はモデルプレーンをここに飾らせていただいておりますが)、この787で運航することが大きなファクターです。787は中型機でありながら、航続距離が長く、運航コスト等の経済性にも優れており、ニューヨークに次ぐ拠点として、需要規模の観点からも最適な機材と確信しております。この機材の導入が、これまで収支妥当性が見出せなかった新規路線の開設に大きな変化をもたらし、今後のネットワーク戦略の中で、既存の路線においても、どのように活用していくか、これが大きなポイントになっていくと考えております。
787は航空会社にとって、これまでの路線維持、経営のあり方を根本から変えることのできる決め手となる機材であると期待しております。今後も787の優位性を大いに活用した実行計画を策定していきたいと考えております。
5点目は、ワンワールドの新たな仲間についてです。6月6日シンガポールで開催されたワンワールドのトップ会議において、マレーシア航空の加盟を協議し、翌日の記者会見の場で、マレーシア航空が新たに我々のアライアンスに加わることを発表いたしました。これにより、アジア地区では弊社とキャセイパシフィック航空と3社体制となり、ワンワールドのアジアにおけるプレゼンスが、更に高まると考えております。
最後に、海外支店訪問についてです。私は年末年始から国内全37空港をまわりましたが、今回、IATAの年次総会および先ほど述べましたワンワールドのトップ会議がシンガポールで開催されたことから、弊社シンガポール支店に出向き、社員と日頃感じていることや、今後どのようなJALにしていきたいかなどについて語り合い、想いを共有させていただきました。今後は海外発の需要の取り込みが大きな鍵のひとつになっており、このためにも、現地の社員との対話や意識共有は非常に重要であると思いました。安全運航の確保が我々の責務であることを確認し、そして、早期の再生のため、心を一つに前に向かって行きたい、このように改めて思った次第でございます。
私からは以上です。ありがとうございました。