JAPAN AIRLINES

定例記者会見

2011年5月18日、定例記者会見を実施いたしました。
会見での社長のメッセージを掲載させていただきます。
(社長の大西が代表してご挨拶させていただいております。)

日本航空 社長
大西 賢
 
 

本日はお忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。

本日私からは5点
1点目は、弊社の地震発生以降の対応について
2点目は、「2010年度の経営概況」について
3点目は、JAPAN PROJECTのご案内
4点目は、夏の需要喚起に関わる施策
最後に、全国の社員との対話
でございます。

また、去る3月28日、多くの皆さま方の温かいご支援とご協力により、当社は更生手続を終結し、更生会社を脱し、定款に基づき、4月1日より日本航空株式会社となりました。このことに改めて御礼を申し上げるとともに、安全運航を堅持し、自己改革・自助努力を行い、日本や世界の空で皆さまに選ばれ、お役に立ち続けることができる航空会社に生まれ変わることを改めてお約束させていただきます。

1. 弊社の地震発生以降の対応について

まず、東日本大震災における弊社の対応状況についてご報告いたします前に、3月11日の東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、被災された皆さま、関係の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
JALグループとしては震災直後の3月12日以来、東北地方の復旧、および東北地方への救助・支援に赴かれる方々の往来、物資の輸送等に寄与すべく、東北地方全体を面で捉え、機材・乗務員・整備・空港ハンドリング等、JALグループの持てる全ての生産資源を投入し、青森、三沢、秋田、花巻、山形、仙台から各地へ、本日までで約1,700便強と、かつてない規模の臨時便を運航いたしました。
2010年1月の経営破たん以来約1年半、その間当社は様々な方々にご支援をいただいてまいりました。震災により新幹線や高速道路等の地上交通網が寸断された中、社会のお役に立てることはないか考えた結果が、東北地方への臨時便の早期設定と先ほど申し上げた臨時便運航、そして、定期便の大型化による運航でした。
現在、地上交通網が復興している中、路線によってはその役割を地上交通機関にお任せするものもございますが、今後とも需要動向をきめ細かく見極めながら、臨時便の設定を柔軟に行ってまいりたいと考えております。
一方、国際線についても、震災後1ヶ月を待たずに需要の減退に即応し、使用機材の小型化と減便を決定し、発表させていただいているところです。しかし、至近の予約動向の伸びや海外各国の日本への渡航自粛勧告の緩和等の動きがあることから、これまで小型化・減便をさせていただいていた国際線の大部分について、日本発ベースで6月24日から復便していくことを、昨日決定させていただきました。引き続き、今後の需要動向を厳しく精査し、外部環境の変化に敏感に反応し、確実に収益をあげることのできる工夫を迅速に実行に移してまいりたいと思います。
震災及び原発事故関連による旅客数影響は、震災前を基準とすると、3月11日以降3月末までで国際線旅客数で▲28%、国内線旅客数で▲26%の減、4月については、国際線旅客数が▲20%程度、国内線旅客数が▲15%程度の減となります。
収入面で見ると、3月、更生計画対比ではありますが、国際旅客で▲40億円強、国内旅客で▲30億円弱のインパクトがありました。
先ほど旅客数の推移で申し上げましたとおり、全体的に需要は緩やかながらも回復傾向にあり、ゴールデンウイーク期間を見ても、直前に予約が増加する傾向であったことから、今後、業績も段階的に回復すると見ていますが、回復のペースがどの程度となるか、この点が今後の問題・課題であると認識しているところです。
現在、4月をボトムに、今後の回復シナリオを複数立案し精査していますが、更生計画の2011年度の目標である営業利益757億円を達成すべく、各種対応策を逐次進めているところです。

2. 「2010年度の経営概況」について

次に、2010年度の経営概況についてです。
この1年、2008年度の生産量対比で、国際線で約4割、国内線で約3割にのぼる"不採算路線の徹底的な整理"、事業規模に合わせた人員適正化など事業構造の抜本的な見直しを進め、また、昨年4月からの基本賃金の5%カット、あるいはボーナスの不支給、本年1月からの新しい賃金制度適用等の一連の賃金施策、乗務員の送迎の抜本的な見直し、施設の効率化等を含む、全般に亘る"コスト削減努力"を実行に移してまいりました。他方で、為替円高要素や燃油市況要素もあり、2010年度JAL単体で1,477億円の営業利益、グループ連結ベースで、1,884億円の営業利益となり、計画を大幅に上回ることができました。
先ほど述べましたように3月単体の旅客実績は落ち込みましたが、収支状況については、3月単月(連結)でも、128億円の営業利益を確保しています。これは、当社が昨年来継続的に行ってきたコスト削減等の経営合理化の成果によるところが大きいと分析しております。
しかしながら、先ほど申し上げたとおり、震災・原発事故の影響はまだまだ収束したと言える状態にないのはご承知のとおりです。今後の状況については決して楽観視できないものと認識しており、あらゆる策を社員一丸となって知恵を絞り、また、部門別採算制度やリスク予測機能を十分に活用しながら早期に策を講じてまいります。
なお、これまでは、会社更生手続における裁判所報告との関係で月次で営業収益と営業損益の概算値のみを報告してきましたが、今後につきましては、上場企業と同等レベルの四半期決算、つまり、標準フォーマットに基づき、任意開示をさせていただき、定例会見の場でお伝えさせていただくことといたしました。

3. JAPAN PROJECT

3点目です。震災・原発事故の影響による旅行需要、特に観光需要の低迷を早期に回復すべく、当社は、「地方から元気に」というコンセプトのプロジェクトを今月から開始いたしました。このプロジェクトは「JAPAN PROJECT」と称しておりますが、各月ごとに取り上げる地域を設定し、日本各地の観光客誘致や地域物産のPR等について地方の自治体様或いは企業様と連携し、機内誌や機内ビデオ、機内食、WEBサイト、空港ラウンジ等、あらゆるツールを通じて各地域の魅力をご紹介させていただきます。今月の宮崎県の特集を皮切りに、6月は高知県、その後も順次展開してまいります。今、日本がこのような状況であるからこそ、このプロジェクトを通じ、観光需要創出、地域社会への貢献・活性化に積極的に努めてまいります。

4. 夏の需要喚起(5月25日 がんばるJAL)

4点目は今年の夏休みにターゲットを当てた具体的な需要喚起策についてご紹介いたします。震災・原発事故の影響による需要の冷え込みを打破するために、お盆の時期も割引運賃が使える「夏休み先得」を4月28日に発表させていただきました。人の往来が盛んになることにより、東北地方のみならず我が国全体が活気にみなぎるよう、夏の需要喚起を行いたいと考えています。
5月25日水曜日には、有楽町にて、当社に加え、JTB様、東北各県、すなわち、官民合同で、旅行・観光に携わる業界横断的なメンバーにより、今回は、東北地方を中心とした夏の需要喚起を行う予定です。私も皆さまと一緒になって汗をかかせていただきたいと思っています。

5. 全国の社員との対話

最後になりますが、私は年末年始からこれまで、主に土日等を活用し、成田空港、羽田空港を皮切りに、JALが運航している空港をまわり、お客さまへの日ごろのご愛顧への感謝と、再生に向け、懸命に努力してくれているグループ社員、そして協力会社の社員を激励してきたところですが、先日、JALが運航している全37空港をまわり終えることができました。
グループそして協力会社の社員に対しては、如何なる時にも揺るがない安全基盤をしっかり守るように指示したうえで、当社の現状について説明するとともに、現場が抱える課題は何か、当社は又は現場は何をすべきか等について、社員と直接対話し、早期再生へのお互いの思いをぶつけあってまいりました。
震災・原発事故への影響を克服するためにも、全国各地における社員との直接対話は、JALグループの団結力を強固にする、或いは、危機意識を共有する、という面においては非常に有益であったものと確信しています。今後も、機を見て全国の支店・空港をまわり、状況の変化に即応できる態勢を維持向上させてまいる所存です。

私からは以上です。ありがとうございました。

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