JAPAN AIRLINES

定例記者会見

7月28日、定例記者会見を実施いたしました。
会見での管財人・会長・社長のメッセージを掲載させていただきます。

日本航空 法人管財人職務執行者
企業再生支援機構 再生支援委員会 委員長
瀬戸 英雄

猛暑の中、お集まりいただき有難うございます。
最初に、管財人を代表しまして、瀬戸から報告させていだだきます。

6月度の収支は、本日配布の管財人広報メモ「6月度の経営状況概要」のとおりです。今月からは、速報値をベースに会社更生手続による財産評定の結果を当てはめて試算したものをご報告します。
日本航空インターナショナルの6月度は、営業収益993億円、営業費用919億円、営業損益は74億円の黒字を達成できました。JALグループ全社連結では、事業収益1177億円、営業利益92億円の見込みです。
更生会社の決算は1月19日の開始以降期首年度となっておりますので、暫定的なものですが、参考までにこの4月から6月期、通常ですと第一四半期ということになるかと思いますが、この3ヶ月を見ますと、JALI単体で営業収益2896億円、営業損益88億円の営業黒字、グループ連結で営業収益3500億円、営業損益164億円の黒字を達成することができました。
この業績の要因は、国際旅客と国際貨物が好調であったこと、全社一丸となったコスト削減の一定の効果が表れ始めたこと、そして財産評定結果による減価償却費の負担の軽減の効果によるものです。
まだまだ航空会社は厳しい状況に置かれております。今後も業績が上向いておりますが、なお一層現場では気を引き締めながら取り組んでいかなければいけないと思っております。

ところで、日本航空の管財人は、先月(6月14日)、航空機燃料税及び空港使用料の減免等を要望する書面を関係大臣に提出しました(「公租公課負担の軽減と路線運航費補助拡充に関する要望書」)。
航空機燃料税は、国内線に限って課税されるものでありまして、空港整備等の財源を目的として航空会社に課税されるものです。世界にまれな税制であり、わが国の航空会社の経済基盤を弱めるものです。また、航空会社に課される空港使用料(着陸料・航行援助施設利用料・保安料)は、諸外国の空港に比してきわめて高額です。これらがわが国の空港の競争力を弱め、そこを基地とする本邦の航空会社の経営に大きな負担をかけております。
日本航空は、これらの公租公課、この3年程を見ましても毎年1700億円以上の納付をしております。売上高の1割を占めているもので、日本航空のみならず、本邦の航空会社各社にとって重い負担となっており、国際競争力を削ぐ結果となっております。着陸料については、成長戦略会議の報告書に盛り込まれておりますが、さらに先日、国土交通省が2011年度税制改正に向けて、航空機燃料税の減免を要求する方針を立てたとの報道に接し、その実現に大いに期待しているところです。

次に、新しい人事賃金制度についてご報告します。
7月13日、等級制度、評価制度、そして報酬制度の抜本的な見直し案を従業員に対して提示しました。
内容は、適材適所を実現するための等級、実力主義に基づく評価と登用によるリーダー育成、人件費のコスト競争力を向上させることを目的とするものです。この新制度は、これまでの年功序列的で、硬直的となった人事賃金制度を、努力し結果を出した人にはより配分を厚くするという、能力主義をより取り入れた制度としております。したがって、若くてもやる気と能力のある人には昇進や配分の面でもより可能性のある制度となっています。
当面の賃金レベルについては、社員に大きな痛みを伴うものですが、JALができるだけ早く再建し、今後、アジア、世界の航空会社との競争の中で対等に伍して行くための基盤づくりのため、不可避なものであると思っております。
この会社の創立以来の人事賃金に対する大改革でもありますし、従業員の一部に戸惑いが生じていることは否定できませんが、これから誠意をもって話し合いを重ねていくことで、理解を得られると確信しております。

更生計画案の具体的内容については、現時点で、その詳細を申し上げることはできません。8月末の提出へ向けて着々と作業を進めております。また、主要金融機関には、更生計画案の要旨をご説明申し上げ、検討いただいているところです。
引き続き、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

日本航空 社長
大西 賢

本日は、お暑い中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
改めて再生のチャンスを与えていただいていることについて、関係の全ての皆さまに感謝申し上げます。私からは、3点ございます。

先ほど管財人の瀬戸委員長から説明がありましたとおり、6月実績も好調に推移致しております。
路線規模の縮小、ダウンサイジングによる供給座席数を減じている結果、搭乗率(私どもが提供させていただいている座席数に対し、実際にお客さまがご利用くださった席数数の比率)の向上が最近目覚しい傾向にあります。国際線におきましては昨年対比約20ポイント、国内線は若干ではありますが、4ポイントほど搭乗率が上回っています。この搭乗率の向上が計画を若干上回っている、一つの観点であると思っております。

2点目でございます。今週より各空港に掲示しているポスター及び、本日よりテレビで展開しております、「感謝を行動に。JALの決意です。」 というメッセージについてご紹介します。
我々JALが今も事業を継続させていただいているのは、広く社会の皆さま、そして引き続きJALのフライトをご利用いただいているお客さまのご理解とご支援によるものに他なりません。改めて広く社会の皆さまに感謝を申し上げるとともに、JALグループの全社員が、「真心を込めて、より良いサービスと価値のご提供に全力を尽くすことを“お約束”させていただく」、という想いをメッセージに込めました。全社員と共に、このお約束を目に見える形で具現化するのは、我々社員、一人ひとりの一挙手一投足、表情、或いは言葉であること、これを確認いたしました。全社員がこのお約束をしっかりと胸に刻みながら、お客さま、そして社会の皆さまに「新しいJAL」を実感していただけるよう、行動して参る所存でございます。

来月12日、JA8119号機の墜落事故から25回目の慰霊の日を迎えることになります。事故から25年、四半世紀が経過することになりますが、この事故から得た教訓を愚直に守り、そして後世代に確実に継いでいく、これが最も大切なことであると考えています。 私も1985年は入社7年目、整備の生産計画を担当しておりました。そのときに感じた衝撃は今も忘れられませんし、安全運航を堅持することの重要さが、改めて体に染み込んだ瞬間でもありました。この経験やこの事故から日本航空が得た教訓を、事故後に入社した社員たちに直接話すなどし、安全の重要性を劣化させることなく、しっかりと継承していかねばならないと思っています。
8月は安全運航堅持の重要性について全社員が改めて確認するとともに、後世代にしっかりと受け継いでいくことを誓う月でもあると考えています。
私からは以上です。

日本航空 会長
稲盛 和夫

改めまして稲盛でございます。お暑い中、お集まりくださりありがとうございます。
ただいま瀬戸管財人、大西社長からお話がありましたので、私から特段付け足すことはございません。

昨日、各役員がそれぞれの担当部門において計上した売上や費用等について詳細に発表、質疑をおこなう場である「業績報告会」という社内会議がございました。今回で3回目の開催となりますが、経営幹部がさらに数字を使って自分達の経営をみていく、またそれを習慣付ける、数字に責任をもってもらう、ということが肝要であるとの観点から実施してきているものです。毎回長時間の会議となりますが、幹部の会社経営の数字に対する意識が高まってきたと感じております。瀬戸管財人から6月度の決算についてご説明がありましたが、幹部の経営マインドの高まりが業績にも結びついてきていると思っています。今後もより意識を高めていくよう力を尽くしていきたいと考えております。

以前から申し上げているとおり、日本航空の再生には経営者の意識改革が大変重要であり、リーダーとして持つべき哲学等について、私のささやかな経験をもとに勉強会も順次開催してきております。皆さん熱心に聴いて頂いており、今後は幹部で議論、検討し、日本航空らしい経営理念、経営フィロソフィーを本年内にはつくっていきたいと思っております。私が着任した2月と比べて、雰囲気が変わってきたと感じております。

私は、航空運輸事業は究極のサービス産業であると考えており、運航乗務員、客室乗務員、空港のスタッフをはじめとする社員一同が、おもてなしの心をもってお客さまに接することが何よりも大切であると考えております。現場に足を運び、お客さまと接するスタッフに「何よりも現場の皆さんの力が会社再建には必要である。お客さまに愛される会社にしよう」と話をしております。皆さんは素直に受け止めて頂いており、意識の変化が徐々にお客さまへのサービスにも現れてきていると感じております。

今後も一生懸命頑張って、日本航空を国民の皆さまに愛される航空会社にしていきたいと思っております。

私からは以上です。

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