5月25日、定例記者会見を実施いたしました。
会見での管財人・会長・社長のメッセージを掲載させていただきます。
日本航空 法人管財人職務執行者
企業再生支援機構 再生支援委員会 委員長
瀬戸 英雄
お忙しい中、お集まりいただき有難うございます。
冒頭に、管財人を代表しまして、瀬戸から報告させていだだきます。
本日、東京地方裁判所に対して、管財人による更生計画案提出期限を本年8月31日まで伸長する旨の申立てを行い、裁判所の決定を頂戴しました。
すでに、これを観測する記事が報じられておりましたが、この決定によって正式に管財人による更生計画案の提出期限が当初の6月30日から、2か月延長されたことをご報告申し上げます。
会社更生手続における管財人が裁判所から附託された職務は、更生会社の企業価値を最大化し、一方で、債権者に対する弁済を極大化し、他方で、決して二次破綻をしないような更生計画を策定することです。企業再生支援機構による再生支援も同様の目的でなされるものです。
日本航空の更生計画、あるいはその前提となる事業計画では、大胆な事業リストラを行って早期に利益の出る企業体とすることを予定しています。そのためには、赤字の原因となった効率の悪い大型機材を早期に退役させ、中・小型の新機材へ置き換える路線計画に転換し、事業規模を一旦は縮小する必要があります。それに伴って、辛いことではありますが、大幅な人員の削減を行わざるを得ません。これまでの経営戦略の抜本的な見直しが不可欠とされます。
日本航空の基本戦略である路線・路便、基地の効率化と中小型機を中心とした機材戦略については、先月ご報告したとおりです。経営改革のためのプロジェクトの進捗状況については、後ほど大西社長から報告しますが、固定費の徹底した削減を進め、さらにはグループ全体の抜本的な組織改革を推進しようとしているところです。
これらは、リスク耐性の高い収益が確保できる企業体質を実現して、企業価値をより高めるためのものであり、主要債権者の意向に沿うものですが、当初計画からのさらなる深彫りの成果と予想数値を織り込んだ更生計画案を策定するのに、なお若干の時間が必要となりました。そこで裁判所の許可を得て、更生計画案の提出時期を8月末までとさせていただきましたが、これによってより再建を確実にする更生計画案が策定できると確信しております。
ところで、会社更生手続の関連では、更生債権等の認否書の提出期限について、すでに裁判所から、本年4月30日であったものを「5月28日まで」に変更する旨の決定を得ております。それに伴って、一般債権調査期間も5月31日から6月14日までに変更されていることも併せてご報告いたします。
主要債権者である金融機関とは、更生手続開始後、定期的に協議を重ねているところです。当社の着実な再生の進捗状況にもご理解をいただいており、また今回の更生計画案の伸長申立てや債権調査方針については、既にご説明申し上げているところです。
更生計画の前提となる数字について、ようやくご提示できる段階に来ましたので、これからさらに緊密な連携と協議を図って行くことによって、更生計画が確実に成立するよう努力する所存です。
ところで、公的支援のあり方、公的資金の使途等について、いくつかご意見を頂戴しております。JALは公的資金が入っているのだから、その使い道について規制をすべきだとし、ヨーロッパにおけるEU委員会による規制の例を挙げて新機材の購入に公的資金を使うべきではないなどの主張です。しかも、いささか誤解を招きやすい言及がなされておりますので、この問題について簡単にご説明申し上げさせていただきます。
ヨーロッパ共同体EUは、隣接する多数の国で構成される組織ですので、当然のことながら、国益を含めた利害調整が必要となります。そのため、特定の国の公的資金が投入された航空会社が他の航空会社より特別な優越的な地位に立つことがないよう規制が加えられる場合があります。もちろん、EU委員会による規制は原則としてEU内企業がEU加盟国から公的支援を受けた場合を規律するものです。EU内の企業を守るための措置として、例外として、EU外の航空会社が不当な運賃政策を行った場合、EU内における事業活動を制限できるとする規定はありますが、これまでに適用された実例はありません。
いずれにしても、それが日本国内の競争環境に当てはまるものでない点にまず注意する必要があります。
その点は一旦おくとして、EU内の企業が、EUの加盟国から公的支援を受けた場合、競争をゆがめるおそれのあるものは、共同市場と両立しないとし、必要以上の支援を行わないよう欧州委員会が加盟各国に命ずることができます。その内容は、それまでより供給量を増やすことはしない、競業他社より安い運賃を設定しない、公的支援を利用して他社株を取得しない、あるいは、加盟国政府の追加関与を制限するなどです。
新機材の更新に関しては、1994年にフランス政府が200億フラン(約30億ユーロ)の公的資金を提供した航空会社について、新機材の購入が問題になった例があります。しかし、このケースでは、EU委員会は結論として「当該航空会社のリストラ計画に機材更新は不可欠なものであり、公的支援を充当することは問題ない」としております。その他、これまでのケースで、公的資金で新機材を購入することを制限する判断がなされたことはないようです。
また、先に述べたようにEUでは、それまでより供給を増やすことなどが規制されることがありますが、JALの場合は、既に発表しているように、国際線で4割、国内線で3割の供給削減を計画しております。したがいまして、EUの例を形式的に準用したとしても、本件はこれを満たしており、内外の競業他社の供給を制約することにはなりません。
一方、米国の自動車メーカーGMの再建に多額の公的資金が注入されたことは、ご承知のとおりです。しかし、米国において、他の内外のメーカーの競争力を阻害するとの理由で、資金使途に制限を加えることはありません。自動車メーカーの再建において、政府資金が入っているから、電気自動車などの新技術にかかる設備に投資してはいけないとされるはずもありません。
わが国においても、企業再生支援機構ないしかつての産業再生機構による事業再生支援について、資金の使途に制限を設けたことはありませんし、会社更生法による更生会社の再建においてもそのような縛りはありません。
もとより、わが国は、規律ある自由経済に立脚する法治国家ですので、競業他社を害する不公正な取引が許されるはずもありません。競争者間の公正な取引環境があってこそ、業界の公正な競争が確保されるものと承知しております。料金について不当な廉売をしてはならないことは、EUの規制によるまでもなく、わが国法制下において当然のことです。
ところで、先月の記者会見でもJALに対する日本政策投資銀行及び機構による融資の性格についてご説明申し上げましたが、あいかわらず、「1兆円もの公的資金、すなわち税金を投入した以上は、かく規制すべきである」という論調が絶えません。
ここで繰り返し、本件における公的資金の性質について申し述べることはいたしませんが、日本航空に国庫のお金、すなわち税金は投入しておりません。企業再生支援機構は、政府保証によって金融市場から資金を調達し日本航空に投資・融資しているので、機構の支援終了時にその資金を確実に回収できるようしっかり再生することです。
くだいて言えば、税金をどう使うかではなく、いかに税金を使わないで再建を成し遂げるかが、われわれに課せられた課題なのです。
4月度は、例年苦戦する月であることに加え、アイスランド火山の影響等も受けましたが、営業キャシュフローベースでは123億円の黒字を確保できました。
旅客座席数の供給を前年より、国際線で20%、国内線で5%の削減している中で、搭乗率の改善と貨物の好調により前年と同規模の営業収益を確保することができました。
営業損益では、なお103億円の赤字であります。これは、コスト削減等の効果によって、前年同月対比ではほぼ売上が同じ、コストについては200億円の改善が見られております。また我々が当初見込んでいた計画よりも大幅に改善が見られております。なお、この数字、営業収支は、会社更生法による財産評定前のものですので、今後財産評定を入れ込んで減価償却費が減少すると損失を大きく圧縮することが出来ると思います。また、新しい路線路便計画の実施前としては、4月という厳しい月であるにもかかわらず、損失を最小化できたものと思います。
ところで、3月末決算の開示が遅れているとのご意見を頂戴しているようなのでそのことについて、ご説明いたします。
更生会社の決算につきましては、法律上、会社更生手続開始決定日である本年1月19日をもって新しい年度となり、その日をもって財産評定という資産の洗い替えと債権調査という債務の確定をしなければならないこととなっております。このため、減価償却等もすべてこれまでと異なる数字となります。
かような特殊要因がありますので、他の更生会社と同様ですが、それまでの決算年度、すなわち、2009年4月から2010年3月の期間の正式の決算は行いませんので、この旨ご了承ください。
更生会社の会計年度は、会社更生手続開始決定からその手続の終結までが一つの年度になります。
我々は、日本航空が安全な運航を維持しつつ、しっかりとした手続を踏みながら早期、かつ着実な再生を果たせるよう、全力を尽くしてまいります。
引き続き、皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。
日本航空 社長
大西 賢
本日はお忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
改めて再生のチャンスを与えていただいていることに対して関係の全ての皆さまに感謝申し上げます。
さて、早速ですが4月の実績等、前回会見から今日までの事柄についてご報告を申し上げたいと思いますが、その前に先ほど管財人より話があった「更生計画提出期限伸長」について私からも一言申し上げたいと思います。また、後ほど会長からもコメントがあろうかと思いますが「盛和塾の対応」についても触れさせていただきます。
先ほど管財人の企業再生支援機構の瀬戸委員長からご説明がありましたが、更生計画案の提出期限が伸長されることとなりました。ご心配をおかけいたしますが、更に詳細な検討を行ない、より確実で、リスク耐性の高い収益体制を実現できる体制を構築し、それを更生計画案に反映させることで、JALグループの確実な再生につなげてまいりたいと考えています。
盛和塾の皆さまからのご支援については、昨日盛和塾の事務局さまより、一部世情に誤解を生じていることから当社の発案でご提供していた品質向上を目的としたプログラムを辞退したいとのお申し出がありました。
当社としても、このプログラムを継続することが、却って盛和塾の皆さま及び関係される皆さまにご迷惑をお掛けすることになると判断し、ご提供を中止することとしました。
盛和塾の皆さまからはプログラムの有無にかかわらず引き続きご支援を継続していただくという大変ありがたいお言葉をいただいております。JALを選んでいただいた全てのお客さまからの貴重なご意見、ご指摘に加え、引き続き盛和塾の皆さまからのご意見、ご指摘も真摯に受けとめ、当社のサービスに確実に反映していきたいと考えています。
それではまず、4月実績の概況についてご報告申し上げます。
詳細な数値は現在、取りまとめ中ですが、国際線はアイスランド火山の噴火に伴う欧州各空港の閉鎖とバンコクにおける政情不安の影響を受けたものの、使用機材の小型化と路線の縮小で供給を前年対比で24%減らしたため、搭乗率が64%から72%へと約8ポイント改善している状況です。先月発表した路線の縮小によりご迷惑をおかけいたしますが、ダウンサイジングが収益性の大きな改善と確実な再生につながると考えています。
国内線につきましても同様の傾向で、供給を5%程度縮小する中で、特に団体のお客さまの需要が好調で、ほぼ前年並みの実績を確保しております。
貨物についても需要が堅調で、4月だけで計26便の臨時便と4便のチャーター便を運航しました。輸送実績とともに単価も伸び、収入は前年比150%を超える見通しです。
ゴールデンウィークにつきましては既に発表しておりますとおり、国際線・国内線ともにJAL/JAS統合以来で最も高い搭乗率となりました。改めて、当社をご利用いただいているお客さまに深く感謝を申し上げたいと思います。この高い搭乗率はこれまで取り組んできたダウンサイジングの効果が現れたものと強く感じております。
5月の足下状況も引き続き好調に推移しております。しかしながらギリシャの財政問題がヨーロッパ圏や世界に与える影響がぬぐえないこと、またタイの反政府デモに伴う混乱は収まりつつあるものの予断を許さないこと、などの不安要素はあります。引き続き油断することなく、需要促進と販売強化に努めてまいります。
続いて経営改革の進捗状況について申し上げます。
本日、管財人により4月の月間報告書を裁判所に提出いたしました。JALは更生手続き開始直後から経営の各種課題に応じて20以上に渡る分科会を設置して、経営改革に向けた活動を、迅速かつ着実に進めています。
詳細は裁判所提出報告書に記載しているので省略させていただきますが、事業規模の縮小検討については2010年度の路線便数計画と特別早期退職の実行により着実に進んでいます。また、コスト構造の抜本的な見直し、収入極大化、人財育成、収益状況の早期把握に向けた活動も開始しており、更生計画案の中にしっかりと盛り込めるよう、鋭意検討を進めてまいります。
前回の会見でもお話させていただいた、5月1日付けで立ち上げた「意識改革推進準備室」のこの約1カ月の動きについてご紹介申し上げます。
私たちは1月19日に会社更生手続き開始の申立てを行いましたが、ご承知のとおり、広く社会の皆さまのご理解とご支援を得て、事業を継続させていただいています。JALグループの経営陣と社員が「再生の最後のチャンスをいただいたこと」を肝に銘じ、一丸となって早期再生・発展を果たすために、抜本的な意識改革に取り組んでいきたいと考え、社長直轄の「意識改革推進準備室」を設置しました。
この新組織では、全社員が高い採算意識を持ち、一丸となって収益改善に取り組むことができるよう、まず「情報の共有化」を図ります。その上で、全社員が持つべき「意識」「価値観」を具体的に整理して、階層別に教育を行ないます。6月から開始すべくこの1カ月間準備を重ねてまいりました。
私たちは過去の価値観と決別し、早期再生に向けた強い思いで困難を乗り越えていかなければなりません。これら施策の実行で、全社員の意識改革に取り組んでまいります。
先日、国土交通省により羽田空港の国際線定期便就航開始日が10月31日に決定したと発表されました。
JALグループは羽田空港を戦略拠点と考えており、2010年10月31日より羽田=サンフランシスコ線、ホノルル線、パリ線、バンコク線、台北線の開設を計画しています。
JALは羽田=米国線の発着枠について過度な配分を要求していると言っているという一部報道がありましたが、JALグループが開設を計画している羽田発サンフランシスコ線、ホノルル線はお客さまの利便性向上と収益の拡大、グループの早期再生につながると考えており、しっかりと、開設に向けた準備を進めてまいります。
次に、JALが加入するワンワールドアライアンスは、英国の航空サービス調査会社であるスカイトラックス社(Skytrax)より、最も優れた高品質な航空連合であるという評価を得て、2010年ベストアライアンス賞の認定を受けました。これはスカイトラックス社が1,800万人の旅行者を対象にリサーチした結果によるものです。JALはワンワールドアライアンスメンバーとして、今後も高品質なサービスを提供しつづけて参ります。
最後になりますが、JALグループの4月の定時出発率は国際線92.2%、国内線96.2%と、引き続き高い定時性を保ちながら1便1便を大切に運航しております。航空会社の基本品質である安全運航を堅持しながら、定時出発とサービスの向上に社員一丸となって取り組んでまいります。
2月の就任会見、そして3月の定例会見以降、本日も含めて毎月1回の定例会見をさせていただいております。今後も可能な限り、このような場を通じての更生計画案策定期間中の進捗状況をお知らせし、できうる限りの情報開示に努めたいと思います。
機動力、現場力、創造力を徹底的に高め、基本品質である安全運航をしっかりと堅持し、且つ、採算性も十分考慮された、変化に対応できる体質を、稲盛会長、管財人のご指導の下、引き続き、一枚岩となり全力で構築してまいります。
以上でございます。
日本航空 会長
稲盛 和夫
本日はお忙しいなか、お集まりいただき誠にありがとうございます。
私がJALに初出社したのが今年の1月25日でしたので、ちょうど本日で4カ月が経ったことになります。
先ほど管財人である企業再生支援機構の瀬戸委員長から、詳しく更生計画の進捗状況等について説明がありました。また、大西社長からも現在の会社の状況について、詳しく説明がありましたので、私からは割愛させていただきます。
現在、私自身もJALの再生に向けて、朝から晩まで必死になって再生計画の策定に取り組んでいるところです。
些か私的なお話しになりますが、私がボランティアで主宰している盛和塾の方々が、私がJALの再生に向けて取り組んでいる姿を見て、何とかJALを支援したいとの強い思いから自発的に応援団を作られました。これに対して、JAL側が大変感激し、サービスに対するご意見をいただくことを前提として、通常の営業活動の範囲内での特典を企業経営者の集まりである盛和塾塾生の皆さまにご提供しました。その結果、それが非常に誤解を招いており、また同時に公私混同ではないかという非難も受けております。しかし盛和塾の方々は「JALのために応援して差し上げたい」と、そういう純粋な気持ちでやっておりますので、誤解のないようによろしくお願いしたいと思います。
私が、JALの会長職を引き受けさせていただきましたのも、JALがもし再生を果たせないのであれば、日本の経済に大きな悪影響を与えると思うと同時に、多くの方に辞めて頂かざるを得ない可能性はあるけれども、残った何万人もの社員の方々の職を守ることが、昨今の経済状況の中で大変大事なことであり、そのような善きことをしようと思って、周囲からも困難と言われた会長の職を引き受けさせていただき、現在、必死で頑張っているところです。
また、JALを再生することが、善なのか何なのかという問題があります。私は資本主義社会の中では、正しい競争が行われることで、国民の皆さまが、適正な料金でご利用頂けるという、そういう意味では正常な競争条件を維持することが、必須の要件であると思っております。
以前に私が、「国際線の無いJALは想像出来ない」と申し上げましたが、「国際線一社化論」というものが言われたり、また一部にはJALが再生することがあたかも良くないという論調もあるやに感じております。繰り返しになりますが、私はJALが再生し、競合他社との間でフェアな競争関係を構築できることが、日本の国民の皆さまにとって良いことだと思っております。また、JALを再生することが日本経済に対しても良い影響を及ぼしますし、同時に社員を守るという観点からも私は正しいこと、つまり善だと思って、一生懸命頑張っております。
話は遡りますが、先ほど述べた盛和塾の塾生の方々がJALを支援したいとおっしゃられたことについても、当然の成り行きであったと私は思っております。
先ほども、瀬戸委員長からお話があったとおり、「巨額の税金を投入しているJAL」など、色々な枕詞で表現されておりますが、現在、企業再生支援機構及び日本政策投資銀行から、3000億円を超える資金をお貸し頂いております。
また、今後は資本金を注入して、さらに資金をお貸しいただくことになるかと思いますが、これは決してただで頂いているお金ではなく、必ずJALを再生してお返ししていくということが前提であります。もしお返しできなければ、その時には日本の税金を無駄に使ったことになりますので、歯を食いしばってでも、何としてでも再生し、収益の上がる会社にしていかなくてはならないと私どもは思っております。
国から税金を出していただくことになるような、いいかげんな経営をしていくつもりは毛頭ありません。貴重なお金をお借りしておりますので、それを有効に使わせていただき、再生に役立て、それを必ず確実にお返ししていくことが我々に与えられた使命であると思っております。
先ほど大西社長からも話がありましたが、JALを改革するためには、収益性が上がるような新しい組織にしていく必要があると思っており、一生懸命、組織を根本から見直すべく議論しております。組織が出来上がりましたら、それを守っていく、そして遂行する勇気があり、能力のある方々をそれぞれの任務につけていきたいと思っております。
同時に、JALの幹部社員、中堅幹部も含めて、私は意識改革が必要であると思っております。大西社長が直属の組織をつくって、一生懸命に意識改革に向けたに努力をしております。これは、企業経営哲学について新しいものを構築して、社員にこれを共有してもらい、それをベースに会社再建に向けた努力をしてもらう必要があると思っているからです。幹部の方々はもちろん、中堅幹部まで入れて、研修会等を企画しておりますので、その中で私も及ばずながら、一生懸命に意識改革を進められるよう、私がこれまで培ってきました企業経営改革のノウハウを注入しながら社員、幹部の方々の育成に努め、必ず収益の得られる再生可能なJALを創っていきたいと思っております。
現在では、まだ至近の業績を算出するのに若干時間を要しておりますが、必死でその収支を出すために頑張って頂いております。先ほども瀬戸委員長、大西社長から4月の業績の話がありましたが、より早く経営実績を共有できる体制を整えなければならないと思っております。
同時に路線毎の収支が早期に把握できる仕組みも作っております。路線毎の収支が早期に詳細に分かれば、どのような手を打てばよいかということも分かってきます。飛行機のコックピットの機長である我々経営陣は、データに出てくる数字を見て、安全に運航できるように経営を軌道に乗せていかなければならないと思っております。
現在、企業再生支援機構の方々を中心に、管財人の方々の必死の努力で、再生計画案が作られております。私も管財人の方々に対して、「より詳細で正確なものを」、と申し上げ、若干提出が遅れることになりますが、これは上手くいかないために遅れているのではなく、更に良い再生計画を作っていくためにお時間をいただくものですので、よろしくご理解をいただけますようにお願い致します。
以上で私からの話を終わります。