昭和45年、大阪で万博が開催され、日本の経済も最高潮となっていた頃、JALにボーイング747型機材通称「ジャンボ」が導入されました。747が導入されたことにより、海外旅行が一段と身近になり、多くのお客様にご利用いただけるようになりました。
私も大空に舞う747に憧れて1989年に客室乗務員になりました。(※1)当時最も人気のあった路線はホノルル線で、繁忙期には一日に10便以上日本各地からホノルル線が運航されていました。
747型機材には、「在来型(クラシックジャンボ)*1」と「−400型(ダッシュ400)*2」がありますが、私が入社した時代は「在来型」が全盛期でした。ここで皆さんにほんの少し、機内の舞台裏についてご紹介します。
「在来型」の機内には、ファーストクラスのお座席が33席あり、チーフをはじめ経験豊富な客室乗務員が5名でサービスを担当していました。機内食では、キャビアやフォアグラ等をご提供していました。また、ワゴンに焼きたてのローストビーフを準備し、お客さまの目の前でお好みに応じて切り分ける優雅なサービスをしていました。お客さまと会話を交えてきびきびと働く先輩方の後姿を見て、私も早く先輩のように仕事が出来るようになりたいと強く憧れたものです。
新人の私は後方客室のギャレー(調理室)を担当することが多かったのですが、先輩方がお客さまにお飲み物をサービスしている間に、200名以上のメインディッシュのステーキをオーブンで温めた後、軍手をはめてお食事のトレイにセットしていました。しかし、慣れない頃は要領を得ずステーキが入っている容器の持ち方が悪く、ソースがこぼれてしまい、セッティングに時間がかかり、先輩方にも手伝っていただいたこともありました。「熱い物は熱く、冷たい物は冷たく」「機内食はお客さまが楽しみにされていらっしゃるサービスの一つであり、調理を担当したケータリングの方々の思いがこもっているのだから、最高の状態で提供できるようにしなさい。」とアドバイスを受けました。ギャレーの仕事が一段落した後に温かいお飲み物をお持ちした際、「ステーキがとってもおいしいよ」とお客様から言っていた時には本当に嬉しかったことを覚えています。
その後、「スカイクルーザー」の愛称を持つダッシュ400が導入され、ニューヨーク・ロンドン・パリ等の超大路線を飛ぶ花形として活躍していきました。「スカイクルーザー」という愛称に相応しく、各所に余裕のあるレイアウトが特徴的でした。特に、大きな機体を生かして、ミッキーマウスと仲間達が旅行に出る絵柄を側面いっぱいにペイントした飛行機はお子様に大人気で、機内でもミッキーの話題で話が弾みました。機内サービスで使用する紙コップやお座席のヘッドレストカバーにもミッキーマウスが描かれていました。(※2)
ギャレーには、スイッチを入れるだけでメインディッシュのみを温められる画期的な電熱調理カートが配備されました。(※3)
機材の変化に伴いサービスの内容も徐々に変化してきましたが、747の機内でお客さまと交わした会話や先輩方からのアドバイスの一つ一つが私のサービスの原点となっています。現在も機材はどんどん進化し、お客さまが様々なスタイルでお過ごしいただけるよう「個のサービス」を重視するようになってきていますが、これからもお客さまとのふれあいや絆作りを大切にして乗務していきたいと思っています。
*1 「在来型」・・・ボーイング747シリーズで、747-400型機以外の機種の総称
*2 「ダッシュ400」・・・ボーイング747-400型機

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