パイロットの飛行訓練を行っているモーゼスレイク乗員訓練所に転勤になったのは、入社10年目の1986年12月、747(クラシックジャンボ)の一等航空整備士資格を取って間もない頃でした。
モーゼスレイクは、アメリカ合衆国ワシントン州シアトルから内陸に車で3時間ほどの田舎町です。
4,000メートルの滑走路を持つグラントカウンテイ空港があり、第二次世界大戦時には、B52爆撃機がここから日本本土に向けて飛び立ちました。
JALは1968年よりパイロットの訓練所として使用しておりました。
私が赴任した頃は、747の全盛期で夏場、多いときには3機の747訓練機で、タッチアンドゴーと呼ばれる離着陸訓練(7〜8分で1回の離着陸)が1回の訓練時間3時間(1ラウンドと呼ぶ)で1日3回(3ラウンド)繰り返し行われていました。
そこで大変だったのがタイヤに関する作業です。訓練と訓練の間1時間止まっている間に、3本〜4本のタイヤ交換、その後タイヤ・ホイールの分解、ホイールの洗浄、次の日は分解洗浄してきれいになったタイヤとホイールの組み立て作業。
これを毎日約20本、数名で実施していました。
航空機のタイヤは約350〜400回の離着陸後に交換いたしますが、ここでは1日に70回のタッチアンドゴー訓練を実施しますので約5日で交換となります。
皆様ご存知かと思いますが、747型機の主脚には合計16本のタイヤが付いておりますので、毎日てんてこ舞いの日々でした。その代わりタイヤ交換後は、F1レーシングチームのようにすばやくなりましたが!
また、訓練所ならではのトラブルにも遭遇いたしました。日常の運航ではありえないような油圧もれがあり、各種油圧で動くアクチュエーターを交換したり、年に1回はエンジンへの鳥の吸い込み(バードストライク)が発生しエンジン交換も毎年実施しておりました。
新しいエンジンは貨物便でサンフランシスコに到着し、その後陸送でモーゼスレイクまで運ばれ、下ろしたエンジンはその逆をたどって日本まで運ばれておりました。
ある時、交換したエンジンをいつもと違い5TH PODと呼ばれる方法で日本に帰る航空機に乗せて帰ることになりました。5TH PODと呼ばれる方法は、エンジンの輸送のひとつで、左の翼の下にエンジンを装着し飛行させる方法です。
無事にエンジンの装着が完了し、日本に向けて飛び立ったときはたいへん感激した記憶が今も鮮明に残っています。最初で最後のいい経験(思い出)となりました。
まだまだ思い出は尽きませんがこのあたりで失礼いたします。
残念ながら訓練所は、2009年2月に閉所されました。

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