
兵庫県、豊岡市。かつて但馬国と呼ばれていた地域に、その昔コウノトリが傷を癒したという伝説を持つ温泉がある。約1400年もの歴史を持つ城崎温泉だ。
撮影に訪れたのは、降り積もった雪はまだ残るが、その奥から春の足音がかすかに聞こえ始めた早春の頃。コウノトリが飛ぶ姿も見られる、美しい温泉郷というだけあり、歴史をしのばせる古き良き街並と青々と色づいた山河が美しいコントラストを見せていた。その温泉街の中程に、今回ご紹介する宿「西村屋本館」は佇む。
約150年の伝統を誇る旅館に足を一歩踏み入れると、懐かしく心地よい空気に包まれた。
この地は中国や韓国などの近隣諸国との文化の交流がさかんに行われたこともあり、館内には貴重な調度品や家具が並ぶ。和とおもてなしの心で溢れた空間に、隣国の異国情緒がスパイスとして添えられているのだ。居心地のよい座椅子に座り、美しく手入れされた庭を眺めていると、いつのまにか一日が過ぎていきそうだ。
くつろぎの時間のあとには、四季の移ろいを窓外に望みながら、透き通るような城崎の湯を楽しみ、但馬牛や日本海の海の幸、こうのとり米など、丹波の名産品がちりばめられた色鮮やかな会席をいただく。コウノトリが飛来する、美しい自然の恵みを全身で享受できる、なんとも贅沢な休日だ。深呼吸したくなる宿である。


Tel:0796-32-2211
兵庫県豊岡市城崎町湯島469
- 料金:
- 『特選但馬牛熟成肉ステーキと甘鯛のちり蒸し吹き寄せ会席』プラン
31,500円(1泊2食2名1室利用の1名料金)
※税込み、入湯税別
伊丹空港から但馬空港まで約30分。
空港からタクシーで約30分。
- ※1日往復2便(大阪発9:05/17:00 但馬発10:15/18:05)
(上)但馬の自然と文化を大切に考えたメニュー構成は総料理長の高橋悦信さんによるもの。
(下)湯殿は写真の『吉の湯』と中国風の内装がユニークな『福の湯』の二つ。
Photo by Tomoaki Okamura


