JAPAN AIRLINES



航空豆知識


文 日本航空 一等航空整備士
第53回
[Q] [台風が来ると、どうなるの?]
[A]  台風が近づくと、国内線では、出発や到着のスケジュールが遅れるなど、お客様に大変なご迷惑をおかけすることがあります。しかし、国際線ではあまりこのような話は聞かないような気がしませんか。それはなぜでしょう?
 これは、国内線を飛ぶ飛行機と、国際線を飛ぶ飛行機のスケジュールに関係があります。国際線を担当する飛行機は、飛行回数の多い近距離の国際線で1日に2往復、つまり4回飛べば多いほうで、1日に1回しか飛ばないこともあります。例えば、東京―ニューヨーク便のように、約12時間30分かかるフライトもあります。
 では、国内線はというと、地上に1時間、飛行時間に1時間程度という繰り返しで、飛行回数は少ない飛行機で1日に4回、多い飛行機では9回程度も飛行します。つまり、朝の6時に羽田空港を飛び立って、22時まで1時間おきに、空と地上を休みなく往復していることになります。
 そこに、台風の登場です。台風にもいろいろありますが、おおよそ毎時30〜60キロくらいのスピードで、多くは日本の西から東へと進んできます。迷走台風と呼ばれるように、同じところにとどまる台風は別として、このスピードで台風が進んでいけば、空港周辺が台風の通過によって、強い雨や風の影響を受けるのは、1〜3時間程度であることが推測できます。
 国際線では、到着してから次のフライトまでの時間が、2時間以上、あるいは翌日となることが多いため、台風が到着地に接近すると予想されるときには、出発の時間を調整したり、途中の飛行速度を調整することで、台風通過後に離着陸を行い、しかも次のフライトには大きな影響が出ないようにしています。
 しかし、国内線では前述の通り、台風通過のために、飛行機が上空や地上で待機してしまうと、そうした待機時間が、その後のスケジュールに影響を与えることが多くなります。
 ちなみに、「夜に台風が上陸!」などの場合には、地上に待機している飛行機に燃料を搭載して重くし、安定させることで、風にあおられるのを防いだり、飛行機を台風の影響を受けない地域に飛ばしたりして、運行に支障の出ないような工夫をしています。
「台風X号が発生しました」。そんなニュースを聞くたびに、私たちはその動向がとても気になりますが、お客様との約束の時間を守れるように、待機している飛行機をフライト計画に反映したり、他の飛行機のスケジュールを調整して、最大限の努力をしています。

 
イメージ
Illustration by Chikara Kunitomo


日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載