JAPAN AIRLINES



航空豆知識


文 日本航空 一等航空整備士
第52回
[Q] [飛行機は、普通の道路に着陸できる?]
[A]  映画などで、小型機が高速道路に緊急着陸なんていうシーンが見られます。しかし、これが大型機となると、ほぼ不可能としか考えられません。なぜなら、大型機が着陸するために必要な滑走路の構造が、普通の道路とは大きく異なるからです。
 それでは、空港の滑走路はどのように作られているのでしょうか?
 日本の大きな空港では、平均すると約2〜3分に1回の割合で、飛行機の離着陸が行われています。中でも飛行機が着陸するときに、滑走路上に強い力がかかることは、皆さんも想像がつくと思います。
 飛行機の脚が滑走路に接する点、つまり着陸点(タッチダウン・ポイント)と呼ばれる部分には、ジャンボ機ともなれば時速約200キロ、約250トンの重さのものが降りてきます。ですから、滑走路が簡単に凹んでしまわないように、また夏の暑さなどで軟らかくならないように、滑走路はかなり硬くて強い構造になっています。
 通常の道路では、砂利や土砂の上に、数センチの厚さのアスファルトが敷かれています。しかし、滑走路の場合は、表面に敷かれるアスファルト(コンクリートを含めて)の厚さは、約2〜3メートルにもなります。滑走路を硬くするためには、アスファルトを敷いては固めるという作業を繰り返すわけですが、巨大なローラーを何回も滑走路を往復させることで、強くて硬い滑走路を作ります。
 また、関西国際空港や中部国際空港のように、海を埋め立てて作られた滑走路では、その下、数10メートルの深さまで地盤を硬くするための改良工事も行っています。
 さらに、滑走路の表面にも仕掛けがあります。平らに見える滑走路ですが、雨が降ったときの水はけを良くするために、滑走路の中央部分を高くして、両脇に向かって傾斜をつけています。そして、たくさんの小さい溝(グルーブ)が傾斜に沿って掘ってあります。皆さんは「ハイドロ・プレーニング現象」という言葉をご存知でしょうか? 雨天時、車で高速走行しているときなどに、タイヤと路面との間に水が入り込み、ハンドルが操作できなくなったり、ブレーキの利きが悪くなったりする現象です。飛行機でも同じ現象が起こらないように、グルーブによって滑走路上の水を流し、水溜まりができないようにしています。
 一見すると、広くて平らな滑走路ですが、大きな工夫から小さな工夫まで、さまざまな技術が埋め込まれています。

 
イメージ
Illustration by Chikara Kunitomo
写真提供=株式会社 ドゥ・アーバン


日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載