JAPAN AIRLINES



航空豆知識


文 日本航空 一等航空整備士
第51回
[Q] [空飛ぶ、サッカー日本代表!?]
[A]  日本中が、いえいえ、世界中が待ちに待ったワールドカップが開催されました。私たち日本航空も、日本代表チームのサポーティング・カンパニーとして、日本チームを応援するため、特別に日本代表チームをデザインした飛行機「JAL日本代表サポーターズ号」を、日本各地に運航しています。
 では、こうした特別なデザインの飛行機は、どのように製作されているのでしょうか?
 実は、通常の飛行機に、大きなシールを貼り付けてデザインを変えています。このシールはデカール(DECAL)と呼ばれ、ステッカーのように機体に貼ることができます。ペンキを使って塗装する場合、使用する色の数が多くなればなるほど、作業工程が多くなり、塗装に要する時間も長くなってしまいます。また、再び元の塗装に戻すためには、作業をイチからやり直すことになるため、多大な時間と労力がかかってしまいます。
 一方、強い粘着力としなやかさを併せもつデカールを使うと、必要に応じて貼ることが可能で、短時間で飛行機をいろいろなデザインに変えることができるのです。
 しかしながら、大きな機体用に一枚の特大のシールを作り、それを貼るのは大変な作業です。
 そこで、飛行機に貼るデカールは、機体に描く図柄を決めたら、コンピュータでそのデザインを、一枚当たり約2メートル×1メートルのサイズに細かく分割します。その上で、それぞれのデカールを、飛行機の外側の指定場所に貼り付けていくことで、大きな一つのデザインに仕上げているというわけです。
 今回の「JAL日本代表サポーターズ号」の場合、約300枚のデカールが、3日間かけて貼り付けられました。デカールによって増える重量は60キロと、軽量化にも十分配慮がなされています。
 また、デカールには小さな穴がたくさん開けられています。これは、気圧の変化で機体表面が膨張・収縮を繰り返し、絵柄にシワができるのを防ぐためのものです。同様に、貼り付け時に機体とデカールとの間に入る空気が、気圧の低い上空に行くと膨張し、風船のような大きな空気のかたまりとなって、デカールを機体からはがそうとするのも防いでくれます。
 さらに、時速約900キロ近くで飛行する機体表面の空気抵抗で、デカールがはがれてしまわないように、接合部分には透明な保護材が付けられています。
 このように、厳しい環境の中でも、機体に描かれた図柄が美しく保たれるように、細心の注意が施されているのです。
 世界の強豪と戦う日本代表チームを、日本航空も皆さんと一緒に応援しています。

 
イメージ
Illustration by Chikara Kunitomo


日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載