JAPAN AIRLINES



航空豆知識


文 日本航空 一等航空整備士
第42回
[Q] [滑走路の長さの決め手とは?]
[A]  日本全国には約100ヵ所の空港や飛行場があります。これらは国土交通省が設置・管理する「第一種空港」、国や地方自治体が管理する「第二・三種空港」、そしてその他の共用・公共用「飛行場」と、設置者や管理者によって分類することができます。これら空港(飛行場)の特徴的な違いはというと、滑走路の長さではないでしょうか。

 そこで皆さん、滑走路の長さはどうやって決まっていると思いますか? 滑走路の長さは、飛行機が飛び立つために必要な距離と考えがちですが、実は三つの条件が必要です。まずは飛行機が離陸するのに必要な長さ、次に飛行機が着陸するのに必要な長さ、そして最も大切となる、飛び立とうと滑走路を走っている間に故障が発生し、急ブレーキをかけても安全に滑走路の中で止まれるだけの長さです。

 この三つのうち、最も長く距離を必要とするのが離陸中止に必要な距離で、この長さが滑走路の長さの決め手となります。例えば、スーパーマーケットでワゴンを押しながら歩いているところを想像してみてください。まだワゴンがそれほど重くないときはパッとワゴンを止めることができますが、品物をいっぱい乗せて重くなると、急に止めようとしてもワゴンは少し進んでしまいます。飛行機も同じで、機体が重くなればなるほど、止まるためには距離が必要になる。つまり滑走路の長さは、その空港を利用する飛行機の重さが大きく関係するのです。

 お客様や貨物の状態で若干の変動はありますが、東京−大阪便(ボーイング747−400型機)の場合、機体はおよそ250トンになります。これに対し東京−ニューヨーク便(同型機)の場合は、およそ380トンにもなります。このように国際線など遠くに飛ぶ飛行機は燃料をたくさん積むので、機体はその分だけ重くなります。ということは、急ブレーキをかけて止まるために必要な距離も長くなります。そのため、国際空港では長い滑走路が必要となるのです。また国際線が就航するとなれば、空港の機能として税関や出入国手続きをするための施設なども必要ですから、それに合わせて大きな旅客ターミナルが必要となります。

 日本国内には東京国際空港(羽田)、成田国際空港、中部国際空港、大阪国際空港(伊丹)、関西国際空港の五つの第一種空港があります。いずれも日本を代表する3000メートル以上の滑走路をもつ空港で、施設も大きく、この五つの空港だけで国内線・国際線を合わせて年間約1億5000万人が利用しています。

 
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Illustration by Chikara Kunitomo


日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載