JAPAN AIRLINES


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航空豆知識


文 日本航空 一等航空整備士
第35回
[Q] [タイヤはどうなっているのか?]
[A]  空の旅を終えた飛行機は着陸するとき、かすかな煙とともに滑走路に滑り込んできます。これは飛行機のタイヤが滑走路面に接したときの摩擦によってできる煙です。

 飛行機には自力滑走、地上での移動を容易にするために、一般には「脚」と呼ばれる着陸装置(ランディングギア)が装着されています。飛行機によってさまざまな脚があるのですが、ここではボーイング747-400型機を取り上げてご紹介します。

 脚は胴体の前方に前脚1本(ノーズギア)と飛行機のほぼ中央に主脚4本(メインギア・主翼用および胴体用2本ずつ)が装着されています。そして、これらにそれぞれタイヤがついているわけですが、前脚には2個、主脚には1本あたり4個のタイヤがついているので、このボーイング747-400型機には合計5本の脚と18個のタイヤがついていることになります。1個のタイヤの大きさはおおよそ直径1.2メートル、幅0.5メートル、重さは120キログラムにもなります。これが18個もあるのですから、タイヤだけでその総重量は約2.2トン、普通乗用車2台分にもなります。着陸時の飛行機の重量を約250トンとすれば、主脚のタイヤ16個が滑走路につくときには、1個あたり重さにして約15トン以上(車15台分)もの衝撃を受けることになります。タイヤをどれだけ頑丈に作っておかなくてはならないかが、おわかりいただけると思います。

 そのタイヤも飛行機が地上を移動したり、離着陸を繰り返すうちに摩耗していきます。離着陸回数の多い国内線で1ヵ月半、およそ200回弱程度の離着陸を繰り返すと、タイヤの円周上に入っている溝(グルーヴ)がなくなり、タイヤを交換することになります。交換は3、4人で特殊作業車を使いながら、1時間弱をかけて行います。重量物であり、しかも、タイヤを地面から離すのは飛行機の姿勢全体に影響する作業となるため、細心の注意が必要です。

 さて、取りはずされたタイヤは数回「リキャップ」といって、擦り減った部分を取り除き、もう一度ゴムを貼り付けて再利用しています。

 もちろん、タイヤの交換作業は摩耗だけでなく、地上にある異物によってできた切り傷や、ブレーキの熱による変形などによって行われることもあり、私たち整備士は飛行機が地上にいるわずかの間に念入りに点検を行っています。

 
イラスト
Illustration by Chikara Kunitomo

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日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載