JAPAN AIRLINES


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航空豆知識


文 日本航空 一等航空整備士
第30回
[Q] [飛行機はどうやって方向転換するの?]
[A]  季節は遠足シーズン。車やバスで旅行するとき、右に左にとカーブが続くと乗っている私たちも左に右にと揺られて気分の悪い思いをしますよね。飛行機も目的地の空港へ飛行するために上昇、巡航、降下、旋回といろいろ姿勢を変化させますが、気流の悪いときを除けば、車ほどに大きく揺れることはあまりないと思いませんか? 時速900km近いスピードを出している飛行機がこれほど乗り心地がいいのにはちょっとした訳があります。

 飛行機が飛ぶ方向を変えるために、主翼にはエルロン(補助翼)、垂直尾翼にはラダー(方向舵)、水平尾翼にはエレベーター(昇降舵)と呼ばれる3つの「舵」がついています。これらを上手く利用することによって方向や高度を変え、飛行機は目的地を目指して飛行しているのです。 ぺんぎん

 空を飛ぶ飛行機がいま飛んでいる地上からの高さを変えずに曲がろうとするとき(これを旋回といいます)、飛行機はエルロンを使用して機体をわずかに傾けます。ほぼそれと同時にエレベーターで機体の前方を持ち上げるようにすると飛行機は旋回を始めるのです。これは、ちょうど自転車やバイクが曲がっていくのに似ています。このため乗っている人は体が下方向に(つまり椅子に)押さえつけられるので、体が左右に振れるようなことはないのです。方向舵という名前から、方向転換では垂直尾翼の後ろ側についているラダーが飛行機を左右に旋回させているような気がしますが、ラダーはエルロンとエレベーターによって動く機体のバランスを取るために動きます。

 では旋回中の飛行機のコックピットは? というと、パイロットが操縦桿を傾けてエルロンを動かし、機体を傾けます。そしてエレベーターで機体を引き起こすため、傾けている操縦桿を今度は引き起こします。さらに足元では方向舵操作ペダルを踏んで、旋回のバランスを取ります。つまり、操縦席にいるパイロットは両手両足を使って飛行機の方向転換をしているのです。 ふと窓の外を眺めると地上の風景が広がっていたり、一面の空だったりすることがあります。そんなとき、飛行機は目的地に向かいながら旋回しているところなのです。


ペンギン



photo 垂直尾翼にあるラダー(方向舵)。
機体のバランスを取る働きをします。

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日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載