JAPAN AIRLINES


line

航空豆知識


文 日本航空 一等航空整備士
第27回
[Q] [飛行機に雷が落ちる?]
[A] かみなり様  「飛行機に雷が落ちることがあるの?」と思われる方もいるのではないでしょうか。実は、空気中を飛ぶときにどうしても避けられない雲の中や雨の中で、飛行機は雷を受ける(被雷する)ことがあるのです。そもそも雷は、空気や空気中の水分が摩擦することによって「電気の素(電荷)」が空中に溜まり、その量が多くなると一気に空気中に放電する、という現象です。雷は空から地面に落ちるものといったイメージがありますが、雲の中では縦横無尽に雷が飛び交っているのです。

 さて、飛行機は被雷しないようにいくつかの対策を立てています。ひとつ目は気象レーダーです。これは飛行機の胴体の先端部分にある装置で、これから飛行するところに雷雲が無いかどうか、強い電波の反射を使って調べます。そして反射してきた電波の強さを赤・黄・緑色の3色でコックピット内に表示をし、その危険度により雷雲を避けて飛ぶのです。

 もうひとつは放電装置です。飛行機自体、空気と摩擦しながら飛んでいますので、電荷が溜まってしまいます。しかも、機体に電荷が溜まれば溜まるほど被雷しやすくなり、通信装置にも雑音が入ります。そこで、この「電気の素」を空中に逃がす必要があります。電荷は飛行機の尖っている部分から抜けていく傾向があるので、主翼や尾翼に「スタティック・ディスチャージャー」と呼ばれる細い針のようなものが取り付けられています。これを合計20から30本ほど設置して、飛行機がなるべく被雷しないようにしているのです。もしも飛行機が被雷してしまった場合には、機体の外観や通信装置、アンテナなどを入念に点検します。

ペンギン  季節は折りしも梅雨。うっとうしい雨の多い日が続き、雷雲も発生しやすくなります。しかし、飛行機は被雷しても安全な飛行が守られるよう、万全の対策を取っておりますのでご安心ください。また、雨の日は気流の変化が激しくなり、その風の影響で飛行機は離着陸時に大きく揺れることが多くなります。私たち整備士は雨の中でも、こんなときに飛行する飛行機に細心の注意を払って点検を行っています。
雷雲



photo ボーイング747の左の主翼、先端
部分に取り付けられている
「スタティック・ディスチャージャー」。
photo
胴体の鼻先部分を開くと、
内部中央にデコボコした円形の
「気象レーダー」があります。

line
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載