JAPAN AIRLINES

第20回
航空豆知識
Q, 飛行機の整備はどのように行われているのか?
A,  着陸した飛行機が、機体を誘導するマーシャラーの合図で、ゆっくりとスポット(駐機場)に滑り込んでくると、前方の停止位置には、飛行機を待ち構える整備士たち──。飛行機が停止し、エンジン音がやむと、長い旅を終えたお客様たちの声が聞こえてきます。
 国内線の場合、飛行機が着陸してから次に出発するまでの時間はわずか45分から1時間。国際線では約2時間。この限られた時間の中で、決められた点検と、飛行機をよりよい状態に保つための整備を実施しなくてはなりません。整備士の仕事は、お客様全員が飛行機を降りた、その瞬間から始まるのです。
星  飛行機の整備には、その飛行機の飛行時間や飛行回数によって、4つの整備の段階が決まっています。それらの整備段階は、アルファベットを使用して、それぞれ T・A・C・M整備と呼ばれています。
 冒頭でご紹介した、飛行機が到着してから次の目的地に出発するまでの間に行う整備をT整備といい、アライバル/デパーチャーサービスとも呼ばれています。飛行機が出発するたびに毎回実施される、もっとも短い時間の整備です。主に外観点検を行うほか、飛行中に機長や客室乗務員によって不具合個所が発見された場合には、その整備も実施します
 次のA整備は約300時間飛行したとき(約1ヵ月)、その飛行機が最終便で到着してから始発便で出発するまでの時間で行う整備です。深夜から早朝までの約6時間で、10人ぐらいの整備士が作業をします。実施するのは、外部状態の点検や油脂類の交換、各部の清掃、部品の交換等です。
 C整備は、約1年ごとに行われ、7日から10日をかけて、機体構造の点検を含む整備を実施します。
ペンギン  最後に、4年から5年に1回、行われる大規模な整備が、M整備です。M整備では、内装だけでなく、航空会社のロゴが入った外装のペンキまで、すべて取り去ります。そして、20日から長いものでは約2ヵ月をかけて、詳細な機体構造検査や各系統の整備、改修を行い、最後に、防錆処置、再塗装を施します。まさしく飛行機の「人間ドック」ともいえる整備です。
 自動車は、故障したときに路肩によせて救援を待つことができますが、飛行機には、整備の機会をとらえて、故障する前に直すことが求められます。そのため、航空機メーカーと航空会社は、整備によって発見された故障情報を連絡し合い、故障があった飛行時間、飛行サイクルより早いタイミングで飛行機を整備することができるよう、努めています。こういった努力によって、同型の機種を保有する各航空会社の事故を、未然に防ぐことができるからです。
 飛行機は24時間、いまのこの瞬間も世界中の空を飛んでいます。整備士たちは到着した飛行機1機1機が安全な状態で、時刻表どおりの時間に出発できるように、また、快適な機内でお客様に過ごしていただけるように、昼夜を問わず、飛行機を見つめ続けています。
 

photo 真夜中でも明かりがこうこうと灯る飛行機の整備場。飛行機の整備は24時間、ひとときも休むことなく行われています。
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載