JAPAN AIRLINES

第18回
航空豆知識
Q, 飛行機のエンジンの中身はどうなっているのか?
A,  飛行機にとってエンジンは「心臓」ともいえる最も重要な装備品。飛行機そのものが、エンジンの進化とともに大型化、高速化してきたといっても過言ではありません。
 その大きさはおおよそ全長4m、直径3m、重さは7トンと、重さだけでも普通乗用車約7台分にもあたります。内部は、圧縮機、燃焼室、タービン、補機の4つの部分から成り立っていて、横から見たとき、筒のような形の前方が圧縮機、中央が燃焼室、後方がタービンになっています。
 圧縮機とタービンは軸でつながっていて、圧縮機とタービンにはこの軸を中心に、ブレードと呼ばれるたくさんの羽が放射状に取り付けられています。圧縮機のブレードは、燃焼室に近づくにつれ小さくなります。ちょうどご家庭にあるような扇風機の羽に十数種類の大きさがあって、大きいものから順に何重にも重なっていると思ってください。
 エンジンは、まず軸を回転させ、その回転によって筒の前方の空気を吸い込むことで始動しますが、羽はだんだんと小さくなりますから、吸い込まれた空気は燃焼室に向かうにつれ、圧縮されることになります。空気には圧縮されると熱をもつ性質がありますが、飛行機のエンジンでは、空気を圧縮させることで約500℃まで温度を上昇させます。
ペンギン  次に、筒の後方まできた空気は、燃焼室で燃料を加えられ、点火プラグによって爆発・燃焼させられます。その爆風はタービンに入り、今度はタービンのブレードを回転させます。タービンと圧縮機は軸でつながっているので、この軸がまた圧縮機のブレードを回転させ、さらに空気を取り入れることになります。そして、圧縮された空気は燃料室からまたタービンに送られて……というように、エンジンはだんだんと回転を速めていくのです。
 しかし、これではエンジンの回転はどこまでも速まるのでは、と思うかもしれませんが、ご安心ください。というのも、エンジンの回転量は、燃焼室内で噴射される燃料の量で調整できるからです。燃料の量は、操縦室の推力レバーや、自動操縦時にはコンピュータによって決められています。
 さて、エンジンは飛行機を動かす推進力を生み出すだけでなく、飛行機に電力、油圧力、圧縮空気の3つの力を供給しています。それらを作り出す機械は、エンジンの各部に取り付けられ、まとめて補機と呼ばれています。
 発電機はエンジンの回転によって電気を発生させ、これらの電気は飛行に必要なコンピュータから客室の読書灯まで、広く使用されています。また、舵や脚を動かす油圧力は、エンジンの回転をピストンポンプの動きに替えることで生み出されますし、圧縮機から抜き出された圧縮空気は、エアコンに使用されています。まさしくエンジンは、飛行機の「心臓」なのです。
 

Photo 飛行機のエンジンの中身。扇風機の羽のようなブレードが、十数段にわたって軸を取り巻いているのがわかります。
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載