JAPAN AIRLINES

第17回
航空豆知識
Q, スクリーンの風景の映像はどのように映しているのか?
A,  日本航空国内線の飛行機に搭乗して、前方の大きなスクリーンを見ると、スポット(駐機場)の風景が映し出されていることがあります。しばらくすると飛行機は動き出し、「当機はまもなく離陸します」というアナウンスが流れると、スクリーンいっぱいに滑走路がクローズアップされて、目の前に迫ってきます。まるで、これから飛び立つ飛行機のための“花道”のようです。やがて、エンジン音が大きくなり、飛行機は、大空に向かって勢いよく飛び出していきます。
 さて、皆さんは、飛行機が滑走路から離れると同時に、前方スクリーンの映像の景色が切り替わることに気がついていましたか?
ペンギン  飛行機の機首が斜め上方を向いて、空に浮かび上がった瞬間、それまでのグレーの滑走路の映像に、ほんの一瞬だけ、空のブルーが混ざります。そして、次の瞬間、映像は、地上の風景を映したものへと切り替わります。
 このように、一部の機材を除き、日本航空国内線には、機外の風景を機内のスクリーンに映し出すためのカメラが取り付けられています。
 ところで、このカメラが、いったいどこに取り付けられているか、ご存知ですか?
「前方の風景なんだから、操縦席に決まっている」とおっしゃる方も多いと思いますが、実は、胴体の前方下側に付けられているのです。飛行機の胴体をよく見ると、コックピット(操縦席)の下側、中央より向かってやや右寄りに、小さな四角い窓があることに気がつくと思います。この窓の内側には、滑走路を映す前方用と、地上を映す下方用、それぞれ別の方向を向いた2つのカメラが納められています。
 さて、実は、このカメラの切り替えは、地上では必要でも、上空では必要ないあるものを利用して行われているのですが、何だと思いますか? それは飛行機の脚です。
 空を飛んでいるときには、飛行機は脚を胴体の中に格納しています。これは、鳥が飛ぶとき、脚を後ろに伸ばして滑空するのと同じで、そうすることによって空気抵抗を減らし、より速く飛ぶことができるからです。
 2台のカメラは、この離発着時の飛行機の脚の動きに連動して、前方用から下方用へ、また下方用から前方用へと、自動的に切り替わる仕組みになっています。
 つまり、飛行機が地上にいるときから離陸するまでは、滑走路を映し出す前方用のカメラが使われ、飛行機が空に浮かび上がり、パイロットが必要なくなった脚を格納するための操作を行うと同時に、下方用のカメラへと切り替わるのです。とりまた、反対に、目的地が近づき、着陸が近くなると、パイロットは脚を出す操作を行うので、それまで地上を映していた下方用のカメラから、今度は前方用のカメラへと切り替わります。
 どちらの場合も、脚を出したり、格納するときに、胴体の前方や中央付近で「ゴォーッ、バタン」という大きな音がしますので、次に国内線の飛行機にご搭乗いただく際には、スクリーンの映像に注意してみてください。
 

Photo 国内線ボーイング777 の脚に取り付けられているカメラ。ちょうど胴体前方の下側に四角い窓があり、内側に2台のカメラが納められています。
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載