JAPAN AIRLINES

第16回
航空豆知識
Q, 飛行機のエアコンの風はどこからくるのか?

 
A,  季節はもう夏。ご家庭ではエアコンが大活躍する時期になりました。飛行機にも、エアコン(エア・コンディショニング・システム)が装備されていて、機種によって多少の違いはありますが、胴体の中央や前方の下側に、2台もしくは3台のエアコン本体が収められています。
 ところで、皆さんは、客室の空気がどこからやってくるかをご存じですか? それはエンジンです。エンジンからくる空気といっても、排気ガスを使うわけではありません。
かき氷  これはエンジンの仕組みの話になりますが、エンジンの入り口から入った空気は出口へ向かうにしたがって、ぎゅっと圧縮されていきます。空気には、圧縮されると熱をもつ性質があります。つまり、エンジンの中の空気は、出口に近づくにつれ、高温高圧になります。飛行機のエアコンでは、この燃焼する前のきれいな空気を取り出して、利用しています。
 エンジンから取り出された圧縮空気は、まず、胴体下のエアコン本体へと導かれます。エアコン本体の中には、エアサイクルマシンと呼ばれる機械があります。この機械では、空気をさらに圧縮させたり、先ほどのエンジンの原理とは逆に、急速に空気を膨張させることによって、とても冷たい、氷点下の温度の空気をつくり出しています。次に、エアサイクルマシンでつくられた冷たい空気に、エンジンから取り出した高温の空気を少しずつ混ぜて、ちょうどよい温度の空気をつくります。空気を圧縮・膨張させることで、温度を調整することができるので、オゾン層を破壊するフロンガスなどは一切使用していません。
ペンギン  このようにして、エアコン本体でつくられた空気は、ライザーダクトと呼ばれる、断面が長方形の通風管を通って、飛行機の天井へと導かれます。ライザーダクトは、胴体の外板に沿うように延びています。飛行機の胴体中央付近の壁に、何ヵ所か窓のない部分があることをご存じの方もいらっしゃると思いますが、その部分の壁の裏がライザーダクトの通り道です。
 天井中央まで導かれた空気は、今度は、ディストリビューションダクトという前方や後方に延びる通風管を通って、飛行機の各ゾーンへと送られ、客室へと吹き出しています。
 さて、高度が100m上がると、気温は0.6℃下がるといわれています。つまり、地上の気温が20℃のとき、飛行機が水平飛行に移る高度1万m地点の気温は、マイナス40℃にもなります。このような氷点下の世界を飛ぶ飛行機の中で、お客様に快適な旅をお楽しみいただくために、エアコンは離陸する前から、すでにフル稼働で機内の温度の調整を始めているのです。
 

Photo機体の胴体中央や前方の床下に収められたエアコンの本体。ヒーターやバルブなど、実に多くの部品からできています。

写真提供:JALフォトサービス
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載