JAPAN AIRLINES

第15回
航空豆知識
Q, 飛行機のオーディオはどのような仕組みになっているのか?

 
A,  イヤホンの向こうから聞こえてくる音楽は、私たちの空の旅に花を添えてくれます。そればかりでなく、離陸や着陸など、思わず緊張するときに、私たちの気持ちをリラックスさせてくれる効果もあります。では、飛行機のオーディオと音楽プログラムは、どのような仕組みになっているのでしょうか?
 機種によって、多少の違いはありますが、まず、音楽を再生するのは、オーディオ・レプロデューサーと呼ばれるカセットテープの再生機が担当します。テープは一般的に使用されているものと同じですが、オーディオ・レプロデューサーでは、同時に何本ものテープを再生しています。
ペンギン  さて、このオーディオ・レプロデューサーと、それぞれのシートを電気配線で結ぶとなると、国内線で約500席もある飛行機の場合、配線の量だけでもかなりの重さになってしまいます。そのため、飛行機のオーディオは、より少ない電気配線で、より多くの種類の音楽を楽しんでいただけるように、日本のポップ音楽、海外のヒット曲、クラシック音楽、演歌など、それぞれのチャンネルの音楽を数十万分の1秒単位で細かく切って、1本の配線で流す仕組みになっています。
 たとえば、それぞれの音の断片を列車に乗せると想像してみてください。チャンネル1は1号車、チャンネル2は2号車というふうに1本の列車に乗せていき、最後の車両まできたら、チャンネル1の次の断片を次の列車の1号車に乗せて・・・という作業を繰り返します。つまり、切れ目のない列車のように、数十万分の1秒ずつの音楽の断片を順番につなげて、とても長い音楽の列をつくり出すのです。これを「時分割多重方式」と呼んでいます。
 音源のオーディオ・レプロデューサーを出発した列車は、たとえばボーイング747型機の場合、出発してすぐに大きく6つのゾーンに分かれて進みます。一番前方のドアから前のゾーンA、前から1番目と2番目のドアの間のゾーンBというふうに1階部分だけでも5つのゾーンと、それから2階席です。各ゾーンに着くと、音の列車は、今度は前の席から後ろの席へ、1列につながって流れ、皆さんのシートの下までくると、そこからひとつひとつのシートへと分かれていきます。
ペンギン  このとき、たとえばチャンネル5を選んでいたとすると、列車から5号車、つまりチャンネル5の音楽だけが次々に取り出され、イヤホンを通じて皆さんの耳へと届きます。実は、5号車以外の列車が通過していくときに、何の音楽も聞こえない空白の時間があるのですが、その時間は数十万分の1秒というとても短い秒数なので、皆さんの耳には、チャンネル5の音楽だけがつながって流れているように聞こえるのです。
 ところで、飛行機が動き始めたとき、聴いている音楽やビデオの音が、少しだけ大きくなるのに気がついた方もいらっしゃるのではないでしょうか? これは、飛行機のエンジンが正常回転を始めたときに、オーディオの音量が少しだけ大きくなるように設計されているからで、飛行機のシステムでは、こんな細かなところにも気配りされているのです。
 

Photoシートをはずした飛行機の客室の床。1本の同軸ケーブルで、何チャンネル分もの音楽を、お客様の耳元までお届けしています。

写真提供:JALフォトサービス
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載