JAPAN AIRLINES

第8回
航空豆知識
Q, 飛行機のコックピットはどうなっているのか?<前編>

 
A,  皆さんは「コックピット(Cockpit)」を英語の辞書で引くと、何と書いてあるかご存じですか? 最初に思い浮かべるのは、飛行機の操縦室やレーシングカーの運転席だと思いますが、ほかに「闘鶏場」という意味もあるのです。では操縦室と闘鶏場には、どんな関係があるのでしょうか? まず2つに共通するのは「とても狭い」ということです。
 写真はボーイング747の操縦室です。手前右側の壁はフライトエンジニア・パネルと呼ばれていて、その名のとおり、フライトエンジニア(航空機関士)が操作を担当する装置です。このパネルには、主に燃料系統、空調系統、油圧系統などのスイッチや計器が付いています。
Image1 前方の2つの椅子が、パイロット(操縦士)が座る操縦席で、手元には操縦桿、足元には方向蛇ペダルが付いています。2つのシートの間のレバーは、エンジンの推力をコントロールするもので、スラストレバーという名前です。パイロットは、操縦桿や方向蛇ペダルで飛行機の姿勢を、スラストレバーでスピードや上昇率、降下率をコントロールします。
 さて、飛行機を操縦するときには、たくさんの計器類を見なくてはならないのですが、その数には誰もが驚くのではないでしょうか。目の前にある計器だけでそれぞれ約15種類、さらに機長と副操縦士の間に約20種類と、計50種類以上の計器が並んでいます。操縦席の前のパネルの中央には、飛行機の姿勢を示す姿勢指令指示器(ADI)があり、その左が速度計、右が高度計と昇降計、下が飛行コースや飛行方位を示す水平位置指示器(HSI)です。
 着陸のための最終進入時、パイロットは操縦桿とスラストレバーを握り、ADIを見ながら飛行機の姿勢(機首の上げ下げや機体の横方向の傾き)を合わせ、次に高度計あるいは昇降計を見て、高度や降下率を合わせます。再び、ADIを見て機体の姿勢を確認し、速度計でスピードをチェック。スピードが足りない場合には、スラストレバーでエンジンのパワーを上げる必要があります。さらに、ADIで飛行機の姿勢をチェック。今度はHSIで機首方位とコースを確認します。そして、またADIで姿勢を確認。つまり、ADI→高度計・昇降計→ADI→速度計→ADI→HSI→ADIと、T字型に目を配るため、これをT型スキャンと呼んでいます。
Image3 このように、離発着といった手動操縦のときには、主要な計器を中心に効率よく目配りができるように、計器の配列にも工夫がされています。とはいえ、実際には、T型スキャンに加え、飛行機の前方や他の計器も見なくてはならないのですから、パイロットには大変な集中力が要求されます。操縦室はパイロットが全神経を集中させ、真剣勝負をしている場所……。まさに「闘いの場」なのです。


Phot
50種類以上の計器が並ぶボーイング747のコックピット。
写真提供:JALフォトサービス
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載