JAPAN AIRLINES

第4回
航空豆知識
Q, 行きと帰りではなぜ飛行時間が違うのか?

 
A,  皆さんは飛行機の時刻表を眺めたときに、同一路線で使用機材(飛行機)が同一機種にもかかわらず、上り便と下り便の飛行時間が異なっていることに気がついたことがあるでしょうか。
 例えば、1998年4・5・6月版の「日本航空国際線時刻表」の場合、成田−ニューヨークで、上り便(ニューヨーク→成田)は13時間40分かかるのに対し、下り便(成田→ニューヨーク)は12時間20分と、その差は実に1時間20分にもなります。では、なぜこのような差が生まれるのでしょうか。
Image1「飛行中に時間が消えてしまったのでは?」などと心配する必要はありません。飛行時間の差は、上り便と下り便で若干飛行経路が異なっていることも原因のひとつですが、その大部分は上空に吹く”風”の影響によるものなのです。
 天気予報などで、気象衛星から撮影した雲の連続写真を良く見てみるとわかるように、日本の上空には、西から東へ、偏西風(ジェット気流)と呼ばれる強い風が吹いています。この風の速さは、国際線の飛行機が飛行する高度10,000メートルの上空では、最大時速が360キロにもなります。時速約900キロで飛行するボーイング747型機のスピードと比較してみても、この偏西風が、いかに強い風かということがわかると思います。
 ところで飛行機の速度は「対気速度(大気に対する飛行機の速度)」で表されます。この対気速度と「対地速度(地面に対する飛行機の速度)」の違いも含めて、先ほどの成田−ニューヨーク線の例を説明しましょう。
 偏西風は西から東へ吹いているため、向かい風を受ける上り便は、追い風を受ける下り便と同じ対気速度で飛行していても、対地速度が風の速さの分だけ遅くなってしまいます。そのため、上り便と下り便では、1時間20分もの飛行時間の差が生じてしまうのです。もし、地上に静止した状態で、飛んでいる飛行機を見ることができれば、上り便は向かい風の速度だけ遅く、下り便は追い風の速度だけ速く飛んでいるのがわかるでしょう。
 偏西風は、季節によって吹く場所が変わるため、飛行時間もそれに伴って変わってきます。例えば、1998年1・2・3月版の「日本航空国際線時刻表」では、成田−ニューヨーク線の上り便の飛行時間は14時間、下り便は12時間15分となっています。
Image2 季節ごとの時刻表で飛行時間の違いを見比べてみると、日頃は気づくことの少ない偏西風の存在を実感できて、飛行機の旅の楽しみが増すかもしれません。


時刻表「日本航空国際線時刻表」の表の一番下の欄に「区間所要時間」が記されています。4・5・6月版では、成田−ニューヨーク線は上り便(ニューヨーク→成田)が13時間40分、下り便(成田→ニューヨーク)が12時間20分となっています。

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<拡大図>
日本航空月刊誌『Agora』1998〜2003年掲載