「コックピット日記」は4人の機長が毎月交替で、パイロットに関する話や日常の乗務で出合ったこと、ちょっとした役立つ情報などを、読者の皆さまにお届けするエッセイです。
Captain95 ハイテク機の新機能文=川添 剛(日本航空機長)
空港の駐機場に、ずらりと並ぶ旅客機。エンジンの数、機体の大きさなど、いろいろな違いがある中で、主翼の先端が上方へ向かっている形状が目を引く小型機があります。
この機種こそ、私が担当しているボーイング737-800型機です。現在、JALグループが使用している旅客機の中でも比較的新しい機種で、国内線や近距離国際線を中心に運航を行っています。
このボーイング737-800は、最新鋭の機能が数多く取り入れられていることでも知られており、例えば、特徴でもある主翼の先端に設けられた大きなウイングレット(翼端板)や燃料タンクの大型化などによって、飛行効率が大幅に改善され、これまでのボーイング737-400型機と比較して、燃費がおよそ15%向上しました。それに伴い、航続距離も約3300キロから約4500キロへと長くなり、国際線でも活躍できるようになりました。
また、最新型のジェットエンジンは、世界的にもっとも厳しい審査基準にも適合する低騒音となっており、周辺の環境に配慮した自然に優しい旅客機ともいえます。
さらに、コックピットの中にも、これまでにはなかった、とても役立つ機能が付けられています。それは「バーチカル・シチュエーション・ディスプレイ(VSD)」と呼ばれるもので、空や地形の断面図上に、旅客機の位置を表示してくれる機能です。
ゲームソフトの「スーパーマリオブラザーズ」などを想像してもらえればと思いますが、ちょうど真横から眺めているような感じで画面は構成され、その中をゲームキャラクターが障害物を避けながら進んでいきます。同様にVSDでも、周辺にある山などの地形が、真横から眺めているような感じで画面に表示され、その中を旅客機が飛んでいきます。
日本の多くの空港周辺には、山や丘などの障害物が存在するケースが多く、とくに悪天候や新月の夜には、それらの障害物を目で見て確認することが難しくなるため、とても神経を使います。こうした際にVSDがあると、地形を立体的に知ることができるので、より安全な運航につながります。
ちなみに、VSDには日本国内のみならず、世界中の地形データが入力されていて、その精度もかなり高いものとなっています。
安全性と環境への優しさが、より一層、求められる時代。ハイテク化が進む旅客機の中で、ボーイング737-800はその先頭グループを走っています。
日本航空 月刊誌『AGORA』より(2003年から連載中)

