「コックピット日記」は4人の機長が毎月交替で、パイロットに関する話や日常の乗務で出合ったこと、ちょっとした役立つ情報などを、読者の皆様にお届けするエッセイです。
Captain75 子供たちの未来へ文=塚本裕司(日本航空機長)
先日、中国に暮らす日本の子供たちの前で、環境についてお話しする機会がありました。その席で、子供から「旅客機が飛んでいるとき、ジェットエンジンから水は出ますか?」と、尋ねられました。
最近は、子供たちの環境に対する知識が豊富で、この質問をした子供は、どうやら燃料がエンジンで燃焼すると、水や二酸化炭素ができることを知っていたようです。自動車ならマフラーから水が漏れ出てくるのを見られますが、旅客機の場合はどうなっているのか疑問に思ったのでしょう。この質問に、私は「もちろん水は出ますが、ものすごく高温なので水蒸気になってしまい、普段は見えません。でも、時には飛行機雲となって、見ることができますよね」と答えました。
JALグループでは、旅客機と地球環境の問題を考えてもらう活動として、2007年から現役の機長が皆さんの前でお話しする出前講座「そらいく」を行っています。現在、5人の機長が交代で参加していますが、私もその1人で、最近は広州と香港の日本人学校から要望があり、子供たちの前でお話ししました。
広州日本人学校では小学校5年生から中学校3年生まで約160名、香港日本人学校では、香港校で小学校4年生から6年生まで約300名、大埔校で小学校5年生のみ約100名が集まりました。全員、海外へ移住するのに国際線に乗った経験があるためか、旅客機への関心が高かったように思います。
講座では写真などを使って、パイロットから見た地球環境の変化や地球温暖化の仕組みなどを説明し、旅客機が取り組んでいる環境対策にも触れました。その後で質問を受けるのですが、子供たちの興味は尽きず、あっという間に60分近くの時間が過ぎてしまいました。
広州や香港で暮らしている子供たちにとっては、大気汚染などの環境問題が日本にいたときよりも身近になっているようで、積極的に質問をしてきます。「子供でも、そんなことまで考えているのか」と、こちらが驚くようなことも少なくなく、私にとってもやりがいのあった講座でした。
「そらいく」は小学生以上を対象に行っており、講演は無料です。詳しくは、JALのホームページで紹介していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
子供たちが暮らす未来のため、皆さんと一緒に環境問題を考えていきたいと思っています。
日本航空 月刊誌『Agora』より(2003年から連載中)

