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コックピット日記

「コックピット日記」は4人の機長が毎月交替で、パイロットに関する話や日常の乗務で出合ったこと、ちょっとした役立つ情報などを、読者の皆様にお届けするエッセイです。

Captain73  空のトンネル文=中村貴幸(日本航空機長)

 桜前線が北上し、日本各地で春の訪れを感じる時季となりました。
 満開の桜は心を華やかにしてくれるもので、美しく咲いている桜並木、左右から枝が伸びて桜のトンネルのようになっている道を歩いたりすると、とても幸せな気分になります。
 さて、こうした春の訪れが地上に現れるようになると、旅客機が飛ぶ上空にも変化が起きてきます。例えば、日本上空に強い西風をもたらしていたジェット気流が弱くなり、南西からの暖かい空気が入ってくるようになります。次第に上空の湿度が高くなり、気流が安定している日であれば、飛行機雲が見られることも多くなってきます。
 飛行機雲というと、青空に描かれる真っ直ぐな白い線を思い浮かべる方が多いと思います。これとは反対に、白く広がる雲の中を飛行機が航行し、その通過した部分の雲がなくなる、いわば通常とは逆転した状態の飛行機雲があることをご存じでしょうか。この雲のことを、私は個人的に「逆飛行機雲」と呼んでいます。
 通常の飛行機雲は、主にジェットエンジンが放出する排気の中に含まれる水蒸気が急激に冷やされ、雲(氷)になる現象です。一方、「逆飛行機雲」の場合は、すでに雲や霧になっている大気中の水分が、エンジンからの排気による熱と圧力で一時的に蒸発することなどで起こります。
他にも、飛行機が雲の上部もしくは下部あたりを通った際、雲が周りにある乾いた空気とかき混ぜられ、水分が少なくなって消えたりすることも要因となります。
 パイロットの立場として「逆飛行機雲」に出合う機会が多いのは、羽田空港に着陸しようと飛んでいて、東京湾上空に霧が発生して霞んでいる、梅雨時のような風の弱い日だと思います。こうした気象状況の場合、旅客機は地上から送られてくる電波をとらえながら滑走路へ近づいていく精密進入を行います。自ずと、何機もの旅客機が2〜3分間隔で同じルートを通ることになります。こうして、くっきりとした「逆飛行機雲」が発生するのですが、これが霧の中にぽっかりと空いたトンネルのように見えることすらあります。
 白い霧の中に続くトンネルを飛行していくのは、映画のシーンにでも出てきそうな、異次元への扉へ向かっていくかのような不思議な気持ちになるものです。
 珍しい「逆飛行機雲」ですが、知らずに見過ごしていることが多いかもしれません。機会がありましたら、ぜひ探してみてください。

日本航空 月刊誌『Agora』より(2003年から連載中)

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