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Captain 68 |
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文=南雲恒昌(日本航空機長)
Text by Yoshimasa Nagumo
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo |
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近所でも、健康のためにウォーキングをしている方をよく見かけるようになりました。最近は「メタボリック症候群」「腹囲85センチ」など、健康に関する事柄もよく話題に上ります。
パイロットという職業は、6ヵ月ごとに行われる「航空身体検査」を受け、クリアしなければ資格が更新されないという厳しい世界ですが、先日、この「航空身体検査」があり、「自分の腹囲も、そろそろ気を付けなければ」と再認識させられました。
もちろん、体格には個人差がありますし、私の場合は体が大きなほうなので、自ずと腹囲も大きくなってしまいます。数字はあくまで目安とはいうものの、やはり少しでも小さくしたいものです。
さて、大きな体で思い出すのは、以前、「コックピットって狭くて、体の大きな人は大変ですね。座席はきつくないですか?」と聞かれたことがあります。
ボーイング767の場合、中型機のためにコックピットはそれほど広くなく、機長と副操縦士、さらに補助席にも人が座って3人になると、かなり窮屈に感じられます。
「そんなに狭くて、大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、パイロットが座る座席そのものは、かなり体の大きな外国人でも大丈夫なように、ゆったりと設計されています。また、体格に合わせて前後や上下など、細かな調整ができるようになっていますので、いったん座ってしまえば、狭さはあまり気にならないともいえます。
それに、座った状態ですべての計器やスイッチに手が届く必要があり、座席に体がすっぽりと収まり、室内が狭く、天井が低いのにもそれなりの理由があるのです。
とはいえ欠点はないかと尋ねられれば、基本的に座席で寝ることはないので、皆さんがご利用される座席のように大きくリクライニングができません。結果として、背筋を伸ばした状態で長時間、座り続けることになるので、多くのパイロットが腰痛を持っており、職業病といえるかもしれません。
その他、パイロットにとって案外重要なのが「肘掛け」です。操縦桿を握ったり、エンジンのレバーを操作したりする際など、肘の位置を固定し、そこを支点に手や腕を動かします。このあたりは、自動車の座席と異なる部分かもしれません。
一見、狭そうに見えるコックピットですが、パイロットの座席はとても機能的にできているのです。 |
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| 日本航空 月刊誌『Agora』2003年より連載 |
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