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コックピット日記
Captain 63
文=宮田正行(日本航空機長)
Text by Kunio Miwa
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo
大空へ向かって
 小さいとき、皆さんは将来、大きくなったらどんな職業に就きたいと思っていましたか?
 ある研究所が、昨年、小学校5年生を対象に行った調査結果を新聞で見ましたが、男子の上位20位以内に「パイロット」は入っていませんでした。昔は、けっこう憧れの職業だったと思いますが、狭き門というイメージ、難しい勉強と厳しい訓練が行われるという現実、そして何より、コックピット内の仕事風景を子供たちが目にする機会がほとんどないということが、この結果の要因になっているのかもしれません。
 そうした中、現在、私は大人になっても大空への夢を持ち続け、チャンスをつかんだ人たちと接する仕事をしています。
 というのも、日本航空のグループ会社である「JALエクスプレス」でパイロットの自社養成制度が始まり、豪州のアデレードにしばらく滞在して、訓練計画を作成する仕事などに携わっているからです。
 JALエクスプレスは、主に大阪や名古屋と地方都市を結ぶフライトを運航している会社で、これまでは経験者、自費で飛行免許を取得した人、航空大学校などの卒業生を採用していました。それに加え、より幅広い人材を求めて、会社がゼロからパイロットを育成する自社養成制度を一昨年より始めたのです。
 採用となった訓練生たちは、アデレードにある訓練所で飛行の基礎を学ぶのですが、会ってみると年齢もいろいろで、前職を聞くと新卒の他に、銀行員や公務員、ホテル従業員など、とてもユニークです。それぞれの事情により、いったんは他業種に就職したもののパイロットへの夢を追い求め、応募した人も多くいます。
 訓練所にはカンタス航空、エミレーツ航空、キャセイ・パシフィック航空など、さまざまな会社や国籍の訓練生がいて、原則英語のみという生活です。訓練は厳しいながらも、休日には航空会社対抗バレーボール大会が開催されて盛り上がるなど、他ではなかなか経験できないような交流があります。
 お陰様で、昨年末には第1期生が卒業し、JALエクスプレスの新しい採用システムが動き出しました。彼らには今後、ジェット旅客機の操縦免許取得へ向け、さらに厳しい訓練が待っています。
 JALグループには同じように、パイロットの自社養成制度を採用している航空会社があります。皆さんも興味がありましたら、ぜひ応募してみてください。
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日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載
 

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