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Captain 59 |
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文=宮田正行(日本航空機長)
Text by Masayuki Miyata
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo |
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まさに冬本番といったところですが、皆さんの地域では雪景色ですか、それとも暖冬ですか?
私の周囲を見回してみても、地球温暖化の影響もあってか、年々、冬らしい寒さが少なくなっているような気がします。省エネやエコ対策など、環境を考える意識も高まっていますし、京都議定書で定められた削減期間が今年から始まりますので、これまで以上に地球環境について考えていかなくてはならないと思っています。
さて、地球温暖化といえば、以前このエッセイで、私たちJALグループのパイロットが上空からシベリアの森林火災を発見していることをご紹介しました。シベリアを覆う森林が消失することは、二酸化炭素(CO2)の吸収源が減るだけでなく、地中に閉じ込められていた温暖化ガスが大気中に放出されてしまうという問題があります。昨年の6〜9月にかけて、172件の森林火災が報告されましたが、私自身もこの中の一件を発見しました。
また、あまり知られていませんが、大気中にあるCO2の濃度を測る研究にも、JALグループの翼が活躍しています。この研究は1984年に開始され、日本とオセアニアを結ぶ路線、アラスカ付近を通過する旅客機を使い、上空の大気を採取して着陸後にCO2を計測する形で始まりました。最近はGPSと、その場でCO2の量を測れる高度な観測機器を用いて、細かなデータが集められています。現在、ボーイング747-400、ボーイング777の計5機に観測機器が搭載され、多くの路線で大気が観測されています。
報告書によると、やはり上空でも年々、CO2の量は増えているそうで、一年の変化を見ると、緑が少なくなる冬ほどCO2の量は多くなり、夏は逆に少なくなります。北半球に比べ大陸が少なく、人口も少ない南半球は、夏と冬の変化が小さいことも興味深いです。
さらに、昨年の夏、初めて試みられたものに、アラスカにあるベーリング海の海色観測があります。これは、海流やプランクトンの変化によって海の色が変化するのをパイロットの目で確認するというもので、雲に覆われやすい夏は人工衛星による観測が難しいため、私たちに協力が求められました。
このように、さまざまな研究分野で、地球環境のために陰ながら私たちもお手伝いをしています。
皆さんが今、乗っている旅客機。もしかすると、観測に活躍しているフライトかもしれません。 |
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| 日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載 |
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