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Captain 52 |
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文=川村 求(日本航空機長)
Text by Motomu Kawamura
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo |
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空港や旅行代理店の窓口などで、皆さんがご覧になることの多い旅客機の時刻表。目的地ごとに出発時刻と到着時刻が記されていて、ご旅行やお仕事で利用される方もけっこういらっしゃると思います。
以前、お客様からこんなことを尋ねられました。
「旅客機の出発時刻って、いったいどの時間を指しているの?」
「この前、旅客機に乗ったとき、ドアが閉まったので時計を見たら、予定の出発時刻よりも早かったんだけど……」
出発・到着時刻については、かつては旅客機のタイヤに置かれる「チョーク」(輪留め)を外した時を出発時刻、取り付けた時を到着時刻とするのが一般的でした。詳しい方なら、きっとご存じのことと思います。しかし、これではお客様に分かりにくいため、日本航空では現在、出発時刻を「ドアが閉まり、旅客機が動き出す時間」とご案内しています。
例えば、電車の場合ですと、ドアが閉まる時刻と電車が動き出す時刻は、ほぼ同時です。これに対し、旅客機の場合、ドアが閉まってから動き出すまでに、安全確認の作業や出発許可が出るまでに時間がかかることもあり、そうした時間差が出発時刻とはいったいどの時間なのか、疑問を抱かれることにつながっているのではないでしょうか。
これは以前、海外で経験した話ですが、ドアが閉まって出発準備が整ったとき、あいにく飛行予定の航空路が混雑しており、そのまま1時間近くも出発を待たされたことがありました。
旅客機の運行は電車や路線バスと異なり、例えば国内線の場合ですと、出発時刻の15分ほど前に搭乗手続きが締め切られていて、ご搭乗されるお客様が確定しています。そのためすべてのお客様が搭乗され、滑走路の状況や出発許可など、さまざまな条件が整いさえすれば飛び立つことができる状態になります。
皆さんがお持ちになる国内線のボーディングパス(搭乗券)には、「ご搭乗口へは、10分前までにお越しください」とご案内していますが、定刻に出発ができ、安全運航で早く目的地へ到着できれば、お客様にとっても私たちにとってもうれしいことです。
安全でより快適なフライトのため、今後とも皆様のご協力をお願い申し上げます。 |
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| 日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載 |
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