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Captain 47 |
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文=川村 求(日本航空機長)
Text by Motomu Kawamura
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo |
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「操縦席よりご案内いたします。この時間帯、目的地羽田空港での混雑緩和のため、管制機関より離陸時刻を指定されております。当機の離陸時刻は○時○分です。お急ぎのところ申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください」
羽田空港へ向かう便で、このようなアナウンスを聞かれたことはありませんか。すべてのお客様が搭乗され、扉も閉まったのに飛び立つことができない。滑走路は空いているのに、不思議ですよね。
ご存じの通りここ数年、旅客機をご利用になるお客様が増加し、羽田空港では便が集中する朝と夕方、数分おきに旅客機が離着陸を繰り返すようになりました。離陸の順番を待って誘導路上に旅客機が何機も並ぶといった光景も、羽田空港ではすっかりお馴染みです。
離陸と同様に、羽田空港へ着陸する便も混雑します。こうした着陸の混雑を回避する手段として、皆さんにもっとも馴染みがあるのは「ホールディング」ではないでしょうか。これはホールディング・ポイントと呼ばれる空域を飛行し、滑走路へ進入する時間を調整するもので、羽田空港の場合、管制官の指示に従いながら房総半島の沖合上空などを周回して次第に高度を下げ、滑走路へ着陸していきます。窓から眺めると、同じような状態に入っている旅客機が、何機も見えることもあります。
また、「ホールディング」の前段階で、レーダー誘導による渋滞緩和も取られています。西から羽田空港へ向かう場合、管制官の指示により静岡県の沖合でスピードが制限され、大きくS字を描くような飛行ルートを通って各旅客機が等間隔の一列縦隊をつくり、伊豆大島の上空から羽田空港へ向かっていきます。
さらに、最近は出発時刻そのものを調整して、渋滞を緩和するようにもなっています。前述の2つの方法のように飛行しながら着陸時刻を調整すると、燃料を余分に消費しますし、二酸化炭素の排出量も増えて環境にも優しくありません。そのため、運航に適切な時間を予め計算し、旅客機の出発時刻を調整するケースが増えているのです。
しかし、この方法も万能ではなく、旅客機の性能や飛行高度、風向風速により、どうしても空の渋滞が起きてしまうのが現状です。
お急ぎの方も多いとは思いますが、空の渋滞を緩和するため、そして何よりも地球環境のために、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。 |
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| 日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載 |
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