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Captain 45 |
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文=工藤英樹(日本航空機長)
Text by Hideki Kudo
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo |
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皆さんは最近、紙飛行機を折ったことはありますか?
私も小さい頃はよく紙飛行機を折って、友達同士で飛ばす競争をしました。そのためにいろいろと工夫しましたし、より遠くに飛ばすことができる「紙飛行機の本」を買ってもらって、懸命に切り取って作ったことを覚えています。
さまざまな折り方がある中で、誰に教わるともなく仲間の多くがやっていたのは、主翼の先端をちょっと上へ折り曲げるものでした。こうすることで紙飛行機が安定し、スーっと真っ直ぐに、長く飛ぶのです。皆さんの中にも、紙飛行機を折ってみると、今でも自然に主翼の先端を折り曲げてしまう方がいるのではないでしょうか。
この紙飛行機を遠くへ飛ばすためのコツは、実際の旅客機にも使われています。私が乗っているボーイング747-400の中には、主翼の先端にウイングレット(翼端板)と呼ばれる、上向きの板が取り付けられている機材があります。
このウイングレット、巨大な機体にあっては小さく見えますが、底辺の長さは約3メートル、高さは約1.8メートルもあります。旅客機は、主翼の上側と下側を通る空気の速度(圧力)差から発生する「揚力」によって飛ぶことができますが、主翼の先端では空気の流れに乱れが生じます。ウイングレットを取り付けることで、そうした空気の乱れを改善する効果が生まれ、最大で3.8%、抗力を減少できるといわれています。
簡単にいえば、空気抵抗が減り、より揚力が得られ、よく飛ぶようになるというわけです。
それなら、「すべての旅客機で、主翼の先端を曲げたらよいのでは」と思われるかもしれませんが、飛行距離の短いフライトではそれほど効果が得られないのと、機体の横幅が約5メートルも増えてしまい、使用できる駐機場が限られてしまうというデメリットがあります。そのため、日本航空では同じボーイング747-400でも、ウイングレットの付いている機材を国際線用、付いていない機材を国内線用として使い分けています。
その他の機種でも、A300-600、ボーイング737-800にはウイングレットが付いていますが、ボーイング767やボーイング777では、構造上などの理由から付いていません。お気付きでしたか?
週末には、お子さんと一緒に紙飛行機を折ってみてはいかがでしょうか。そして、どうもうまく飛ばない……、そんな時には主翼の先端を少し上に折り曲げてみることをおすすめします。 |
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| 日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載 |
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