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コックピット日記
Captain 43
文=高桑久仁昭(日本航空機長)
Text by Kuniaki Takakuwa
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo
空の運動会
 天高く馬肥ゆる秋……。
 かつては秋の風物詩といえた運動会ですが、最近は春に運動会を行う学校も多くなっているようです。それでも近所の幼稚園や小学校に、運動会のお知らせが張られてあるのを見ると、なんだかワクワクする気分になり、やはり運動会は秋が似合うなあと感じるこの頃です。
 さて、空の運動会……? と不思議に思われたでしょうが、私自身、たびたび航空ショーを見て、「これは飛行機による運動会みたいなものだ」と思っていました。
 日本でも、各地で行われるブルーインパルスの航空ショーが有名ですが、世界的には、例年7月に開催されるイギリスのファンボロー、フランスのルブルジェが大きな航空ショーとして知られています。私も数回見に行きましたが、プロペラ機の宙返りや戦闘機の編隊飛行などはまさに飛行機の運動会といった趣きです。
 日本の航空ショーと違うのは、皆さんが通常搭乗されている旅客機も、これらの航空ショーに参加しているという点です。地上に展示されているのを見学したり、その旅客機が実際に飛び立ち、滑走路上を低空飛行した後に急上昇したりと、普段は見ることのできない旅客機の姿を間近で眺めることができるのもまた楽しいものです。時には、日本でまだ飛んでいない新型機の飛行もあって、興味は尽きません。
 小型プロペラ機の宙返りから、最大800人が乗れる大型旅客機の飛行まで見ることのできる航空ショーは、可愛いらしい1年生のお遊戯から大きな6年生の組体操まで見ることのできる運動会と、どこか似ているところがあると思いませんか?
 ちなみに、航空ショーが開催されている期間中、会場となる空港の上空を通過したり、出発経路や到着経路が影響を受ける旅客機には、飛行ルートを変更するなどの特別な指示が出ることもあります。例えば、パリ郊外にあるルブルジェは、日本航空便も離発着しているシャルル・ド・ゴール空港に近く、そうした情報を聞くと、「今年も航空ショーの時期か」と、自分が実際に見学した時のことや飛行機による数々の妙技が思い出されます。
 日本国内でも三沢(青森県)や入間(埼玉県)で、航空ショーが行われます。皆さんも機会がありましたら、お子さんやお孫さんと一緒に、空の運動会を見物してはいかがでしょうか。 
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日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載
 

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