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Captain 33 |
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文=工藤英樹(日本航空機長)
Text by Hideki Kudo
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo |
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今年も終わりが近づいていますが、皆さんにとってどのような年だったでしょうか?
さて、先日のことになりますが、私が担当しているボーイング747-400に乗務して、日本からアンカレジ(米国アラスカ州)を経由し、フランクフルト(ドイツ)へ行ってきました。
「えっ、日本航空には今でもアンカレジを通る便があるの」と、驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれ、フレイターと呼ばれる貨物専用機の話です。これまで日本航空では、フレイターとして在来型ジャンボ(ボーイング747F)が活躍してきましたが、昨年よりボーイング747-400Fを2機導入しており、今後も徐々に増やしていく予定です。
旅客機の航続距離が現在のように長くなかった時代、日本からヨーロッパへ向かう旅客便は、一度、アンカレジで燃料補給を行ってから、北極圏を通過していました。皆さんの中には、当時のことを懐かしく思い出される方も多いことでしょう。現在は旅客機の進歩によって、旅客便はヨーロッパへ直行していますが、その一方でフレイターは今でもアンカレジ経由のままとなっています。
でも、なぜでしょう。フレイターは貨物を運ぶのが目的の飛行機のため、できるだけ多くの貨物を一度に運ぶことが求められます。目的地まで直行するのに比べ、途中で燃料を補給すれば、搭載する燃料が軽くて済むことになり、その重量分だけ多くの貨物を積めるというわけです。
さらに、この新型フレイターは、機体表面が銀色でピカピカなのが特徴です。表面に塗装をしないことで機体の重量を軽くし、しかも磨き上げることで空気抵抗が減り、燃料消費の軽減、二酸化炭素の排出量削減にもつながっています。いわば地球に優しい飛行機というわけです。
私自身、15年ぶりに訪れたアンカレジは、爽やかな天気で気持ち良く、大勢の観光客を見かけました。夏場ならサーモン釣りや自然散策、冬場ならオーロラ鑑賞など、楽しみも多いところです。ちなみに、夏場と冬場の観光シーズンは、日本航空もアラスカへチャーター便を飛ばしています。
普段の旅行では、空港でフレイターを見かけることはほとんどないと思いますが、機会がありましたら、荷物を運ぶ大きなピカピカの機体を探してみてください。 |
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| 日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載 |
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