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コックピット日記
Captain 31
文=高桑久仁昭(日本航空機長)
Text by Kuniaki Takakuwa
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo
空の女神たち
 空の仕事に携わっている女性というと、皆さんは空港カウンターのスタッフや客室乗務員を、すぐに思い浮かべるのではないでしょうか。その一方で、パイロットや整備士などは男性が多い職種といったイメージを持たれてはいませんか。
 一昔前だったら、職種によって特徴があったかもしれませんが、運航乗務員として仕事をしていると、最近は空のさまざまな分野で女性の活躍が目立ってきているような印象を受けます。
 まず、出発に際して、機長はディスパッチャー(運航管理者)と気象や航空情報などを確認する打ち合わせを行いますが、近頃、女性のディスパッチャーが増えてきました。パイロットにとって、「ここからあの木が見え始めたので、霧はそろそろ解消していくと思います」など、 地元に密着した気象情報を説明してもらえるのはとても役に立ちます。しかも、そうした情報の中には、女性ならではの細かな観察力や指摘が入ることもあり、説得力があります。
 また、コックピットに乗り込んだ後、機体の外部点検のために地上へ降りると、貨物や燃料の搭載を担当している作業着姿の女性スタッフもよく見かけます。
 出発地から到着地までの間に交信する管制官にも、女性が多くいます。例えば、羽田発福岡行きのフライトですと、担当エリア毎に管制業務が分担されているため、通常11名の管制官と通信を行いますが、その半数以上が女性ということも珍しくありません。最近は女性のパイロットも増えているので、ヘッドホンから聞こえてくる交信では、パイロットと管制官の両方が女性という例も耳にします。
 さらに、着陸した旅客機をスポット(駐機場)へ誘導するマーシャラー(誘導員)にも、女性の活躍が目立つようになりました。
 日々の安全運航が成し遂げられるためには、たくさんの女性の力が不可欠です。機長である私としても、皆さんがほとんど触れる機会のない職場で活躍している女性スタッフを始め、多くの人たちの支えがあってこそ、無事フライトを終了できると、実感しています。
 そうした意味で、空に携わる女性たちは、まさに“女神”なのです。
 皆さんのまわりで、旅客機に興味のあるお嬢さんがいましたら、「将来はこういう仕事もあるらしいよ」と、アドバイスしてみてはいかがでしょうか。
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日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載
 

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