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Captain 26 |
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文=川村 求(日本航空機長)
Text by Motomu Kawamura
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo |
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昔も今も、大型ジェット旅客機を操縦するパイロットに憧れる人は多いようで、「どうしたら日本航空のパイロットになれますか」といった質問をよく受けます。現在、日本航空では、国際線と国内線を運行する日本航空に約3300人、その他のグループ会社を合わせると実に大勢のパイロットが働いています。
日本航空を例にお話しすると、パイロットになるためには、4年制大学・大学院の卒業生を対象に募集する「パイロット自社養成制度」に応募する方法と、国が設けたパイロット養成機関の「航空大学校」を卒業して入社する方法の二つがあります。
自社養成の場合、入社する訓練生は旅客機の操縦経験や知識がほとんどない初心者です。みなさんが車の免許を取得する場合、さまざまな学科試験や実技試験をクリアしていきますが、パイロットの資格も同様に、入社してから厳しい勉強と訓練を重ね、旅客機の操縦に必要な初歩的な資格からはじまり、最終的には大型ジェット旅客機を操縦できる資格の取得を目指して、日々、訓練を積み重ねていきます。
これに対して、航空大学校の卒業生は、在学中の2年間で、旅客機の運航に必要な航空法や航空工学、気象学などの知識を身に付け、お客様を乗せて運航ができる「事業用操縦士」と「計器飛行証明」の資格を取得してから入社します。すでに、航空会社の運航乗務員として必要とされる基本的な操縦資格を持っているので、入社後の訓練は自社養成より短くなるという違いがあります。
いずれの場合も、長期間、寮生活を送りながら訓練を受けることになりますが、近頃では少なくなった「寮」での共同生活が、パイロットにとって、とても重要な意味があるように思います。というのも、パイロットという仕事は、知識や技術だけではなく、経験や直感、そして何よりも常に他者に気を配りながらチームで仕事をすることが求められます。これは通常の授業や訓練だけで得られるものではなく、日頃の寮生活を通じて先輩から後輩へ伝えられていくものの中から、自然と身に付くものです。
人から人へ伝えていくパイロット同士の「人間関係」こそ、私たちにとってかけがえのない宝物となっています。 |
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| 日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載 |
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