JAL | JAPAN AIRLINES

コックピット日記
Captain 25
文=高桑久仁昭(日本航空機長)
Text by Kuniaki Takakuwa
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo
海から空へ
 街で、真新しい制服を着た生徒や、おろし立てのスーツを身につけた新社会人を見かけるようになる4月。皆さまの中にも、新たな旅立ちをされた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
 私たちパイロットにとっても、今年は「新しい」ことがありました。2月17日に開港した伊勢湾に浮かぶ中部国際空港、通称セントレアです。すでに、ご利用になった方もいるでしょうし、旅客機を使って、先日開幕した2005年日本国際博覧会(愛・地球博)に行こうと計画されている方もいらっしゃることでしょう。
 セントレアは、日本で3番目に建設された本格的な海上空港です。海上空港というと、11年前に開港した関西国際空港がよく知られていますが、では、日本で1番目、世界でも初の海上空港がどちらかご存じですか。
 答えは長崎空港。大村湾に浮かぶ島とその周辺を埋め立てて造られたもので、開港は1975年です。実は私自身、この長崎空港には思い出があります。というのも、母の実家が長崎で、子供の頃から里帰りの際にはよく利用していました。当時は、海上空港が珍しく、海の上を飛行し、小さな島のように浮かんでいる滑走路に着陸する旅客機の姿は、子供心にとてもワクワクさせられるものでした。今振り返ると、当時のそうした記憶がどこか心の中に残っていて、パイロットへ進むきっかけになったのかもしれません。大人になり、パイロットとして初めて長崎空港に着陸した時は、とても感慨深いものがありました。
 そんな少し特別な思い入れがある海上空港ですが、操縦桿を握る機長の立場からすると、周辺に山や高い建物などの障害物が少なく、視界が開けているので、離発着がしやすいというメリットがあります。また、名古屋周辺は時々、大雪に見舞われることがあり、これまでの名古屋空港では運航に支障をきたすこともありましたが、セントレアの開港でかなり解消されるだろうといわれています。
 年々、世界が狭くなり、人や物の移動にスピード化が求められています。そうした声に応えるためにも、これからは広く、24時間運航できるような海上空港が求められるのかもしれません。今後も日本では、来年の2月に神戸空港、3月に新北九州空港が開港する予定となっています。
 皆さんの新たな旅立ちを、私たちはこれからもサポートしていきます。
images
日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載
 

Copyright © Japan Airlines. All rights reserved.