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コックピット日記
Captain 24
文=工藤英樹(日本航空機長)
Text by Hideki Kudo
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo
“翼”と“花”の良い関係
 次第に日が長くなり、春のきざしを感じる時期となりました。
 パイロットとして乗務していると、北半球と南半球で季節が逆だったり、雪深い札幌に行ったかと思えば、その次には暖かい沖縄に飛んだりと、どうしても季節感を忘れがちになります。そうした中、空港周辺や滞在先で目にする花が、私たちに季節感を取り戻させてくれます。
 特にこの時期は、梅の名所として知られる太宰府天満宮(福岡県)の梅林が見事で、紅白のかわいらしい花と、あの何ともいえない香りに誘われて、何度も訪れてしまう場所になっています。
 また、海外ですと、早ければ3月末からオランダは色とりどりのチューリップが咲き、その美しさに圧倒されます。特に、アムステルダムにあるキューケンホフ公園で一斉に咲くチューリップの絨毯は実に見事です。機会がありましたら、ぜひ訪れてみてください。
 さて、こうした季節の花々を見るにつけて、豊かな自然と旅客機が、今後どのように関わっていくべきかをつい考えてしまいます。近頃は地球規模で温暖化が進み、環境が悪化しています。旅行では、訪れる土地の自然に触れ、そこで育まれた文化を知り、料理を味わうのは大きな楽しみですが、こうした旅を気軽にできるのも、旅客機があってこそです。
 先日、国ごとに温室効果ガスの排出量を削減する「京都議定書」が発効され、ますます環境問題を考えなくてはならない時代となりました。旅客機は機体が大きい分、エンジンから排出されるガスなど、環境問題と深い関わりがあります。そのため、日本航空では、10年以上前からこうした環境問題に対して取り組んできました。
 例えば、燃費が良く、同じ飛行距離でも排気ガスの量が少なくて済むボーイング777などの旅客機を積極的に導入したり、新しい貨物専用機では表面の塗装をせず、その分、空気抵抗と重量を減らして、燃料の消費を少なくするなど、さまざまな努力を行っています。私が操縦していボーイング747-400では着陸後、誘導路を移動する際、状況に応じて4つあるジェットエンジンのうち1つを停止させるなど、排気ガス削減の努力をしています。
 春は卒業や入学、転勤などで旅客機に乗る機会が増えます。空から眺める美しい景色のためにも、私たちはこれからも環境問題に取り組んでいきます。
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日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載
 

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